『ドカベン』については、長らく心に引っかかり続けていた問題がある。そう、いわゆる「ルールブックの盲点の1点」である。 これは単行本35巻(文庫版では23巻)に所収されたエピソードで、先に述べたアピールプレイにまつわる不可解な得点を描いたシーンである。水島の代表作『ドカベン』において、読者のおそらく95%くらい(あるいはもっと)が首をかしげ、プロ野球関係者でさえ「これはありえん!」とまで言ったらしい。 結論から言えば、大方の疑問に反して、正しいのは水島であった。そして、微妙なルールにまつわるこんなシーンを少年野球マンガで描ききった水島の株は大きく上がった。 プロ野球選手がうなるほどの考証が『ドカベン』にはあるのだ。これはマンガとしてのおもしろさとはまた違う側面かもしれないが、しかし野球マンガ、もっと大きく言ってスポーツマンガ全体の裾野を広げえた、水島マンガの質のあらわれであると思う。 つまり
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