連載目次 IT業界でバブル景気が生き残っていた1990年代、ソフトウェアエンジニアの長時間残業は常態化していた。金融機関向けシステム開発に従事していた私も、月の残業が100時間を下ることがなかった。 もっともそんなのは序の口で、私の周囲には、土日もほとんど休まず平日も徹夜で、残業が200時間をはるかに超えるエンジニアもいた。こうした長時間労働が元で心身に異常を来し、残念ながら命を落としてしまう人もいた。IT業界ではこうしたことがままあり、本連載でも以前、システムエンジニアの死をテーマにした記事を書いたことがある。 「働き方改革」が叫ばれるようになって久しい現代では、ITエンジニアの残業時間は絶対量としては減った感はある。しかし近年になっても相変わらず積み重なる作業に心身をむしばまれ、落命してしまうエンジニアはいる。 今回は平成終盤に起きたエンジニアの悲劇を巡る裁判のお話である。裁判でどちら
