尊厳死法制化に関するルポからの流れで、脳死・臓器移植についても敏感にならざるをえない。このところ、河野太郎などが盛んに臓器移植法改正をぶち上げていて、傍観していれば、大変なことになりかねないという懸念もある。 特に関心の深い人以外、臓器移植と言えば、移植された人が助かるという以上のイメージがなかなかわきにくいようだ。この状況は尊厳死をめぐって肯定的なイメージが流布しているのとよく似ている。もとより、臓器提供者や、実際に「尊厳死=自然死」した人から言葉が発せられることはあり得ないのだから(死人に口なし)、自分を当事者と思っていない人々が、似非倫理にのっかって楽観的なイメージを抱くのも無理はない。 しかし実は誰もが当事者なのである。死なない人間はいないし(人間の死亡率は100%)、自分がどのようにして死ぬのか事前にわかっている人間などいないからである。 河野案で臓器移植法が改正されれば、「脳死