パヴェーゼの『故郷』が岩波文庫に入ったのを買っておいたのを読もうとしたら、冒頭から、大変読みにくい文章であったから、先に訳者の解説を読んだ。すると、こちらも読解不能であった。パヴェーゼがファシズムの下で苦しんだことは分かった。だが、そのことと、「ネオレアリズモ」という技法がどう関係するのか。「責務の文学」だというが、その意味は何か、説明がない。「叙事・叙情の手法」というが、それはいったい何なのか、理解不能である。パヴェーゼは戦後1950年に自殺しているが、その状況については説明しつつ、その理由について何も書いていない。「パヴェーゼの英米文学作品への傾注は高校時代に始まったが」とあるのは「傾倒」の間違いだろう。さらに訳者はこの作品の最初の一文の訳を十年間考えたと言っている。日本語がまともに書けない人が訳しているというのでは、普通に読めない。もしかすると翻訳より原文で読むべきものなのかもしれな