石黒 千賀子 日経ビジネス編集委員 日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。 この著者の記事を見る
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石黒 千賀子 日経ビジネス編集委員 日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。 この著者の記事を見る
最終回です。 いつも、この日経ビジネスオンラインの「ブータン公務員だより」をお読みいただいてどうもありがとうございます。また、いつもたくさんの示唆に富むコメントをいただきどうもありがとうございます。毎回一つひとつ拝読し、「なるほどこういう見方もあったか」と勉強させていただき、次のコラムへの参考にさせていただいてきました。6月中旬にこの連載を始めてから、早いものでもう10回目のコラムとなりました。そして、実は「ブータン公務員便り」は今回が最終回です。 もともと、10回のつもりで始めさせていただいたコラムでした。でもたまに「今週も面白い! ぜひ1年ぐらいは続けてほしい連載です」とコメントをいただいたり、連載も8~9回目ぐらいになったところでツイッターで「面白い連載が始まったよ! 今後に期待!」などと記事を紹介していただいているのを見ると、「ど、どうしよう…。これ10回ものでもうすぐ終わりですっ
東海大学国際教育センター 准教授 アルモーメン・アブドーラ 新年明けて早々にフランスのパリで発生した新聞社襲撃事件から1ヶ月半が経ちました。その間、湯川さんとジャーナリストの後藤さんの2人の日本人の殺害事件やヨルダン人パイロットの殺害事件など、様々な痛ましい事件が起きています。そして、それらの事件に共通しているのは、実行犯がイスラム過激思想を持った者であることです。こうした状況が続く中、「イスラムとの衝突」といった声が世界各地で上がり始めています。また、過激派組織IS、イスラミック・ステートに人質をとられた日本にとっても、こうした事件とは無縁ではいられません。 私たちは本当に「文明の衝突」のさなかにいるのか。フランスのシャルリー・エブド襲撃事件やイスラム過激思想などについて、イスラム教、または、アラブ世界の視点から考えてみたいと思います。 テロはどうして起きるのか。テロの最大の動機は「
数日前、庭木の枝に小さな鳥の巣を見つけた。お椀型の巣はからっぽで、内側をシュロなどの繊維、外側はコケや地衣類でおおわれ、クモの巣で枝に接着されている。「メジロかな?」可愛らしい緑色の小鳥の姿を思い浮かべて笑顔になりかけたとき、不安におそわれた。コケや地衣類は放射能に汚染されやすいと聞くが、それを巣材に使った小鳥は、どうなってしまうのだろう? そんな疑問をもったとき、書店で見かけたのが本書である。子ども向けの写真絵本だが、解説もしっかりとしていて、読みごたえがある。著者は山形県在住の写真家で、原発事故で被害を受けた福島県の阿武隈山地にも昆虫調査で足を運んでいた。 本書のタイトルを見てまず想像したのは、「放射線を浴びた生物に奇形や生殖能力への影響が出たことがショッキングな写真でたくさん紹介されている」……というものだったが、違った。 テレビ局の記者から「角のまがったカブトムシが見つかっています
先日、僕が司会をしている「朝まで生テレビ!」で、ISILについて、とことん議論をした。ISILとは、「イラクとレバントのイスラム国」の頭文字をつなげたもの。いわゆるイスラム過激派組織「イスラム国」のことだ。 彼らは日本人を人質にとって、死刑囚との身柄交換などを要求、脅迫をしていた。そして非常に残念なことに、結果はたいへん厳しいものとなった。 この事件が日本の外交姿勢につきつけた問題は、非常に大きい。昨年から自国民が人質になっていることを知りながら、なぜ安倍首相は中東を訪問したのか。なぜイスラエルであのような演説をしたのか。政府の足をひっぱらないように、野党も追及しなかったが、これらの疑問点は、いずれしっかりと検証されるべきだろう。 いうまでもなく国際政治は、実に複雑でデリケートである。今回の人質事件に関していえば、たとえ難民への人道的な支援のために資金を出すのだとしても、それらの国と戦闘状
私がカルト宗教という問題に取り組んで早いもので十年になります。その間、宗教や信仰の問題についての相談を随分受けてきました。 以前、地域の集会で講演を依頼されたことがあります。そこではとある新宗教の教団施設の建設の予定が明らかになり、地域住民の人達が反対運動に立ち上がったのです。私が日本で起きているカルト問題の概略や、そもそもカルトとは何かという講演をしたあとに、集まった人達による議論が始まりました。代表者の方の「あんなカルトを街に入れる訳にはいかない」という言葉の後に、挨拶に来た教団職員の目つきがおかしかったとか、服装が変だとか、マインドコントロールされているという意見が言われました。 その教団に懸念すべき点が無いとはとても言えませんが、特に何か事件を起こしたわけでもなく、ここ最近で言えば社会的に問題となるような活動も見受けられません。しかし住民の皆さんの議論を聞くと、悪く言えば「異質な人
池内恵さんの『イスラーム国の衝撃』が2015年1月20日の発売直後から大きな話題となっている。発売翌日には増刷が決まり、累計85,000部に達した。著者の池内さんに緊急インタビューをした。 ――発売日当日に日本人人質事件が発生しました。 「イスラーム国」による人質殺害要求やその背後の論理、意図した目的、結果として達成される可能性のある目標については、本のなかで詳細に分析しています。今回の事件も本書で想定していた範囲内の出来事と言えます。 しかし、偶然とはいえ、あまりのタイミングでした。 事件発生直後から問い合わせが殺到したため、「中東・イスラーム学の風姿花伝」という個人ブログで、「『イスラーム国』による日本人人質殺害予告について:メディアの皆様へ」という文章で見解を載せたところ、「シェア」による拡散が3万8000件(1月22日午後8時現在)にも達しました。 これまでも自分自身の「研究活動」
日本人2名がイスラーム国の人質となるテロが発生しました。テロリスト達は、安倍政権の中東政策を反イスラーム国的であると断じた上で、2億ドル(=約238億円)の資金を支払わなければ、人質を殺害すると予告しています。今般のテロ行為は、総理の中東歴訪のタイミングに合わせ、日本国民と世界の注目がもっとも集まるタイミングを狙ったものです。イラクやシリアでの戦闘で力をつけ、欧米人の殺害を繰り返してきたイスラーム国のテロリスト集団としての錬度を見せ付けています。 事態に対処する政府担当者からすれば、人質の一人である湯川さんの拘束から既に数ヶ月が経過しており、危機対処のマニュアルは整備されているはずです。まずは、従来からの方針に基づいた対処を進める以外にないのだろうと思います。 日本国内の反応は、これまでも人質事件に際して繰り返されてきた構図を踏襲しています。一方には、テロリストとは絶対に交渉してはいけない
池内恵(いけうち さとし 東京大学准教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について、日々少しずつ解説します。有用な情報源や、助けになる解説を見つけたらリンクを張って案内したり、これまでに書いてきた論文や著書の「さわり」の部分なども紹介したりしていきます。
「クリスマスと正月が同居する日本」に世界の宗教家が注目! 寛容の精神に見る、宗教の本質とは Reasons for religion -- a quest for inner peace クリスマスを祝い、除夜の鐘を聞き、神社へ初詣をする日本人の宗教観は、しばしば世界から疑問視される。しかし、僧侶の松山大耕氏はこの日本人の寛容性こそが宗教の本質をとらえているという。宗教上の問題で争いが絶えない世界に対し、日本の宗教観を発信していく必要性を語りました。(TEDxKyoto2014より) 日本人の独特な宗教観について 松山大耕氏:私は今から35年前、ここ京都のお寺で生まれました。お寺の子どもとして育ちましたけれども、中学校、高校はカトリックの学校に行っていました。 (会場笑) お寺に生まれながら、キリスト教の教育を受ける。これは非常に珍しいことではありましたけれども、家族親族、友達含め皆温かく
パリ、カフェ、子育て、サードプレイス、 新たな時代を感じるものなどに関して 徒然なるままに自分の想いを綴っています。 昨日、日本時間の深夜、フランスで空前の規模の デモ行進が開催された。参加者はフランス全土で 400万人程、パリだけでも150万~200万人が参加したという。 デモが始まったのは日本時間の夜12時頃で、 私は前後1時間くらいのニュースをずっと聴いていた。 ラジオからですらものすごい興奮が伝わってくる。 後ろから聞こえるフランス国歌、時折流れる拍手の渦。 今回のデモはもちろん反テロであり、17人のテロ犠牲者の 追悼集会でもあって、デモの先頭には犠牲者の家族、 それから40カ国余りの首相たちが並んでいた。 オランド大統領と共にサルコジ元大統領の姿もあり、 ドイツのメルケル首相やイギリスのキャメロン首相の姿もあった。 連帯、まさに連帯だった。様々な国の国旗に様々な宗教が交じり合う。
パリ、カフェ、子育て、サードプレイス、 新たな時代を感じるものなどに関して 徒然なるままに自分の想いを綴っています。 「フランスで新聞社襲撃 12人死亡」 朝電車に乗っていた時、ふと目の前にいた人の新聞の 見出しが飛び込んできた。え?なに?嘘でしょう? 動揺しながらすぐにFrance infoのニュースを聞くと 普段のラジオの調子とは全く違う、深い悲しみが伝わってくる。 「彼は本当に優しい人だったんだ。人を傷つけようなんて 気持は微塵ももっていなかった。友人を亡くす悲しみが こんなにも辛いものなんて・・・」ほとんど泣きそうになりながら 亡くなったシャルブ氏について語る人がいた。 その時私には15分くらいしか時間がなく、一体何が起こったのか よくはわからないけど、ただ事ではないというのを痛感した。 私がそれを知ったのは木曜の朝、それから少しでも 時間があるとひたすらラジオを聞いて、ルモンドを
毎年、年の初めに発表される天皇陛下の所感。戦後70年となる今年は、戦争がもたらした多くの犠牲に触れ、「満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なこと」と述べられた。 過去にしっかりと向き合い、そこから教訓を学び、2度と悲惨な戦争の当事国とならないよう、この機会にしっかり考えていこうという呼びかけと、私は受け止めた。ただ、新聞によっては、なぜか「歴史を学び」という言葉を見出しから割愛し、「日本のあり方考える機会」(読売)「日本のあり方考えていくこと極めて大切」(産経)としたところもあった。 ふと思い立って、今上陛下が天皇となられて最初に迎えた平成2年(1990)から今年に至る26回の年頭所感をすべて読んでみた。 これまでの26回で「経済」という言葉が15回も使われているのは、意外だった。「厳しい経済状態」を案じ、人々を励ます発言が多い。
任天堂・岩田氏をゲストに送る「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」最終回――経営とは「コトとヒト」の両方について考える「最適化ゲーム」 編集部:TAITAI カメラマン:佐々木秀二 12345→ 連載第20回めとなる,ドワンゴ・川上量生氏との対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」。最終回となる今回の“ラスボス”的ゲストは,日本――いや,おそらくは世界最強の“ゲーマー経営者”である任天堂の岩田 聡氏です。 コンピューターオタクだった学生時代を経てゲーム開発者になり,現在は,任天堂の取締役社長を務める岩田氏。昨今は,「Nintendo Direct」や「社長が訊く」でもお馴染みの岩田氏は,実際にはどんな人物で,どんなことを考えているのでしょうか? 読者にもおなじみの,任天堂社長としての岩田氏だけではなく,プログラマーとして,ゲーマーとして,あるいは一人の人間として――さまざまな角度
僕が若かった頃のことだ。「国を、社会を変えたい」という志を持つ若者がたくさんいた。彼らは、革命を目指して学生運動に燃え、ジャーナリストや物書きになる、というのが常であった。しかし、いまの若者は、昔と比べだいぶ変わってきていると、最近感じるのだ。 そのような志を持ついまの若い世代は、何が違うのか。まず彼らは、起業することで、つまりはビジネスを通して、社会を変えようと考えている。もちろん適正な収益は目指す。だが、がむしゃらに稼ぐのではなく、社会全体の利益を重視するのだ。ソーシャルビジネスである。 その先駆けは、駒崎弘樹さんだろう。彼は、NPO「フローレンス」の代表だ。フローレンスでは、一般の保育園があずかってくれない、病気になった子どもをあずかる「病児保育」をおこなっている。 なぜ、そんなことを始めたのか。ベビーシッターの会社に勤務していた駒崎さんの母から、お得意さんが会社をクビになった話を聞
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