本書は、経済学的な見地から人類一万年の経済史を見ている。本書は、敢えて「徳の起源」、「繁栄」と言ったマット・リドレーの展開する進化心理学と、永続するための性質の保存という意味での「利己的遺伝子」の論を避けている。この試みは、野心的で興味深く、政治、行政に関わる方々にとっては絶賛に値するのだろう。一般読者としては、この姿勢の結果、経済学から見れば未だに克服できない人類の外部性への無知と無視の実例を延々と述べられている本書の大半の部分が「中だるみ」と感じてしまう。 殺人ザルはいかにして経済に目覚めたか?―― ヒトの進化からみた経済学 作者: ポール・シーブライト,山形浩生,森本正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/01/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る ちなみに、読了して経済の外部性とは、他者と協力することが大変苦手であった私たちの祖先「殺人ザル」