平家物語に登場する平安時代末期の僧・俊寛(しゅんかん)の手紙が、陽明文庫(京都市右京区)が所蔵する公家の日記「兵範記」(重要文化財)の紙背文書から見つかった。俊寛は平家打倒の鹿ケ谷事件に加わって流罪となり、能や歌舞伎の演目としても有名だが、自筆書状が確認されたのは初めて。 国宝「御堂関白記」など近衛家伝来の古文書を保存する陽明文庫の資料を高精細デジタル化するプロジェクトで、東京大学史料編纂所の尾上陽介准教授(古記録学)が見つけ、今月、京都市であった「陽明文庫講座」で公表した。 紙背文書は不要となった書類や手紙などの裏を再利用して書かれた記録などの、元の文書。書状は船木荘という荘園からの上申書に関して、「兵範記」の筆者・平信範宛てに判断を求める内容で、末尾の署名はこれまで「法師快□」(□は途中で紙が切断されている)と解釈され、筆者は確定していなかった。 法師と書く署名例はないことから、