ジェフリー・アーチャーの小説の中に、「ハンガリーの教授」という短編がある。イギリス人青年が共産主義時代のブダペストで、たまたまハンガリー人の老教授と知り合う。その教授はまるでイギリス人のように英語を流暢に操り、イギリスについてもあたかも長年住んでいたかのように、豊富な知識と教養を披露するのだが、じつは政治体制のせいでイギリスどころか海外にすら一度も行ったことがなかったという話だ。 一昔前はこのハンガリー人の老教授のように海外の知識を手に入れるためには、旺盛な好奇心と絶え間ない努力が必要とされた。しかし、現代はグーグルという検索サービスのおかげで、クリックひとつで多くのことを「知る」ことが可能となった。 このことに関しては、とても歓迎すべきことだ。イギリスのことを知りたければもう本屋で洋書を購入しなくても、グーグルに訊けば知りたいことを知ることが出来る。ー 誰でも彼でもハンガリー人の老教授の