タグ

ブックマーク / easy.mri.co.jp (40)

  • 海事産業がサイバーセキュリティの重要性に目覚める

    ロンドン時間の2018年5月16日から、国際海事機関(IMO)の海上安全委員会(MSC)で第99回会合(MSC99)が始まった。 船舶の安全管理システムへのサイバーリスクマネジメントの組込み 昨年の会合(MSC98)では、サイバーリスクマネジメントに関する審議があり、サイバーセキュリティ対策に関するガイドラインが正式に承認された。また、2021年以降の船舶の適合審査の際に、安全管理システムにサイバーリスクマネジメントが含まれていることを確認することになった。 このガイドラインでは、サイバーリスクマネジメントを実現するためのベストプラクティスとして、業界固有のガイドラインの他に、汎用の国際的なセキュリティ基準(ISO/IEC 27001等)も参照している。船舶のサイバーリスクマネジメントを実装する際には、それらのセキュリティ基準を参考にすることができるだろう。 これまで、海事産業におけるサイ

  • AIにも”リビング学習”

    “リビング学習”という言葉をご存知だろうか。子供部屋ではなく、リビングなど保護者の目が届く範囲で子供が勉強する学習方法のことである。主に小学生にとって、学習習慣の定着を促すために効果的な方法といわれている。 一方、2017年に発表された論文によると、Googleなどの大手IT企業が開発したAIの知能指数は6歳児のそれにどうにか近づいたというレベルであった。 AIにも“リビング学習”が必要なのだろうか。 AIが“間違った学習”をすることへの不安 実際にシステム構築の現場において、「AIの精度は維持されるのか」「AIがおかしな挙動をしたらどうするのか」といった声をよく耳にする。 AIは、全ての動作がプログラムで直接指定されているわけではなく、データから学習して、自らの挙動を変えていく。初見のデータから“間違った学習”をする可能性はゼロではない。 機械学習システムにおける学習環境の整備はまだ試行

  • RPAがもたらすかもしれないカオス(混沌)

    RPAはソフトなシステム開発 最近、AIとともにRPA(Robotic Process Automation)が話題になっている。RPAの発想は、ユーザの作業をソフトウェアによって自動化する、というものである。例えば、次のような作業を容易に自動化できる。 勤務表管理システムから社員全員の勤務時間を抜き出し、 勤務時間が一定時間を超えた社員を見つけ、 メールで残業を控えるよう連絡する。 「容易に」がポイントで、多くのRPA用ソフトウェアはシステム開発ベンダではなく、ユーザ自身による開発を想定している。具体的には、次のようにユーザの操作を記述する。 勤務表システム起動アイコンをクリックする。 ユーザID入力欄をクリックする。 user とキーボードで入力する。 パスワード入力欄をクリックする。 passwdとキーボードで入力する。 ログインボタンをクリックする。 全社員データダウンロードボタン

  • AIは徹底した机上検討より素早い実地検証を

    「他社のAIとは何が違うのですか?」 AI人工知能技術を活用したシステム構築に携わった技術者ならば一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。そして、真摯であろうと思えば思うほど、答えに窮する質問である。 一方、事業部門や構築を依頼したクライアントなど、導入する側から見ると、世の中に様々なAIがある中で当に導入すべきAIがどれなのか、判断が難しいのもまた事実である。 なぜAI技術が入ったシステムは評価が難しくなるのか。 企画段階での精度 企画段階において、世に数多あるAI活用ソリューションの中から、今回のケースに適したものを選択しなくてはならない。解きたいタスクに対する精度がまず重視されるだろう。 一つの応用タスクを実現する場合、実際には複数の部分タスクに分解して解くべき問題を構成する。例えば、文書要約という応用タスクを例にとると、単語分割や構文解析などの部分タスクを解いた上で、文同

  • 自由な航空情報共有に平等なプロセスを

    2035年には世界の航空旅客数が約70億人に達すると予測されている。 空港や空の上は、2016年より2倍は混雑することになる計算だ。 「搭乗開始はいつだろう? 乗ったは良いものの、なかなか出発しないな? 滑走路前でも待たされるの? 予定通りに到着するかな? 天気が悪いけど遅れたりしないかな? 遅れるとしたらどれぐらいなんだろう?」 20年後の70億人がこんなことを思いもしないような円滑な航空交通インフラが実現できるだろうか。 情報共有できれば、航空交通はもっとスムーズになる 急増する航空交通量を円滑にさばくには、情報共有の仕組みは欠かせない。欧米航空当局は、今「SWIM」という新たな仕組みを整備しつつある。 新たな情報共有の仕組みができると、航空会社は離着陸待ちの発生を予測して、遠回りでも燃費のよい経路を選べるようになる。 旅客は、自宅を出る前に、正確な搭乗時刻を知ることができ、搭乗口で長

  • 怪しいAIの見分け方

    最近のニュースでは毎日のように人工知能AI)が取り上げられている。AIがブームになっている一方で怪しいAIも少なくない。 ここでは「下表①の株価データから将来の値上がりを予測する」場合を例に、 評価指標:AIの性能をどのような数字で測っているか? 評価方法:AIの性能をどのような手順で測っているか? 解いている問題:AIが解いた問題はどのようなものか? 使用しているデータ:AIが使用したデータはどのようなものか? それぞれで怪しさを感じる事例を紹介したい。 ※表①のデータは一部を除き乱数で作成しており、当は解けない問題になっている。 文の長さからも分かるように怪しいAIを見分ける事は簡単ではない。怪しい事例を見つけた場合はAIの作成者または外部の専門家に相談してほしい。なお、筆者はこれから紹介する全ての問題事例を業務や学会で見たことがある。怪しいAIは意外と多い。 表①.株価データ

  • 市場シェアからLTV向上へ

    LTVとは 古くはインターネットプロバイダの無料モデム配布、0円ケータイ、100円パソコン、最近では、クレジットカードの入会時キャッシュバック・ポイント進呈キャンペーンや、光回線の新規加入時プレゼント(タブレット端末、液晶TV、TVゲーム機)など、こうした販促プログラムは今に始まったことではないが、どのような収支計算に基づいて設計されているのだろうか。 企業側は、顧客の単発的な売上ではなく、その顧客と企業との付き合いが始まってから終了するまでの間にもたらしてくれる顧客生涯収益(=Life Time Value、LTV)を算出することで、その顧客を獲得するために、いくらまで販促コストを捻出できるのかを計算している。当該顧客のLTVが、獲得・維持コストを上回れば、その販促コストは正当化される。 多くの企業では、販促費は、前期の売上実績などから、特に戦略を持たずに割り当てられているのが普通だろう

  • 顧客接点へのAI導入はUXの検討から

    洋服を選んでくれるAI、チャットで質問に答えてくれるAI、自分の投資性向を考慮して最適な投資をアドバイスしてくれるAI・・・。 AIを活用した新しいサービスが続々と登場している。 一方で、特にコンシューマ向けのサービスではユーザエクスペリエンス(UX)の重要性が広く認知されてきている。 上記のサービスはいずれも従来よりも優れたUXを提供している印象を受けるが、実際、AIUXを高めるのだろうか?それとも妨げるのだろうか? UXを高めるときの限界 AIUXの関係を論じる前に、まずUXについて考えてみたい。 UXを高める魔法の杖はないといわれている。 新商品・サービスを開発する際には以下の点を利用者の視点に立って検討・実装し、ユーザテストを行いながらPDCAサイクルを回すことを通じて、UXを徐々に高めていくことになる。 製品・サービスに対する期待を高める新しい体験・世界観・ストーリー 特別感

  • ソフトウェア開発の友としてのAI

    近年様々な分野でAIの適用可能領域が広がっている。さて、AIはソフトウェアとして存在するが、ソフトウェア開発自体へAIはどのように適用出来るのだろうか。起こりつつある具体的変化に着目し、今後のソフトウェア開発の未来の一端をつかまえてみたい。 ソフトウェア開発への適用努力の歴史は長い AI自体は何度かのブームを経て発展してきており、ソフトウェア開発へ援用してみようという試みも今に始まったとこではない。むしろAI研究の当初から取り組まれてきた。特に1960,70年代の以下の研究テーマ(参考文献で紹介)は、当時実用に至らずとも示唆に富んだ成果を挙げている。 一定の要件からプログラムを自動生成する。 プログラムが自ら学習し保守・成長できるようにする。 プログラムの検証をAIが行う。 上記の論点は、ソフトウェア開発そのものをAIに担わせること対象にしたものだが、ソフトウェア開発周辺の知的活動を支援す

  • コーヒーのテストマーケティングが深めるダークウェブ

    コーヒーの需要動向に関する基調査』の結果を眺めると、日でも家庭を中心にコーヒーを飲む量が増える傾向にあると改めてわかる。今後はITを使ったテストマーケティングの影響も出てくることが予想される。しかし、このテストマーケティングの影響は統計だけにとどまらない可能性を秘めている。 ITを駆使したコーヒーのテストマーケティングが活況 ITによりコーヒーの消費に影響しそうな例として以下が挙げられる。 My Starbucks baristaでは、人工知能音声認識Amazon Alexaにより注文できるようになる(いつものを飲みやすく) Cafe X Multiroasterのようにネットで細やかな指定をしてからロボットが待ち受けるカフェで受け取れるようになる(こだわりを飲みやすく) Stagg EKGのように、完ぺきなコーヒーになるように粉に合わせたお湯をアプリで制御できる電子ポットがKi

  • 「おいしさ」を伝えていくIT

    先般、ナチュラルアートという農業ベンチャー企業の講演に参加し、日の農業について考える機会を頂いた。同社は農業を始める人の支援や、農業のブランド構築の支援等を事業展開する企業である。継承者不足等の問題を抱え、「儲からない産業」と言われる農業を、いかに活性化し魅力的な産業にしていくか、というコンセプトの元、事業を行っている。東京のような都市部に住んでいると、品を消費するのみで、生産現場のことを忘れがちであるが、今回はITが実現し得る日の農業の未来像について考えてみたい。 日の農業の抱える問題と継承すべきもの 日の農業は、現在、就労者の高齢化と継承者不足の大きな問題を抱えている。さらには、中国産等の海外の安価な原料に圧され、農家は販売価格を下げることを余儀なくされ、収益が圧迫されている状況である。 一方で、日の農業には大きな強みも持っている。それは、年月をかけ蓄積された育成方法や、品

  • 政府統一基準が目指すサイバーセキュリティ対策の理想像

    2016年8月末に内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)から、「政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準(平成28年度版) 」(以下、「H28政府統一基準」)が発行された。政府統一基準は、国内の政府機関が実施すべきセキュリティ対策を定めたものであり、2014年に発行された旧版が2年ぶりに改定されたことになる。 今回は、このH28政府統一基準の改定内容を眺めつつ、政府機関におけるサイバーセキュリティ対策の現状を考えてみる。 2年で大きく変わるセキュリティリスク この2年で、サイバーセキュリティの世界はめまぐるしく変化している。情報処理推進機構(IPA)が毎年公表している「情報セキュリティ10大脅威」で2014年から2016年への変化を見ると、「標的型メール攻撃」などは引き続き上位を占めているものの、ランサムウェアなど新たな脅威も登場している。 政府機関にとって、この2年で一番イン

  • 食育だけでなく音育も

    目一代、耳二代、舌三代 という言葉を大学時代、恩師から教わった。どういう場面で師の口から飛び出したのかは忘れてしまったが、 意味は覚えている。 美しいものを見る目(感覚ばかりではなく感性も含む)は人の日頃の習慣や努力で成しえる。 しかし、良い音(音楽も含む)を聴けるようになるには人もさることながら、 子どもの頃からの親の指導や習慣も影響する。 さらに、美味しいものを味わう感覚になると、祖父母の代から味わい楽しむ生活を していないといけない。 たしかこのような意味だった。 この言葉を聞いた十数年前、偉大な音楽家は親子で才能が継承されていることが多いとか、 有名シェフや料理人と言われている人々の育った環境の話を思いながら、 なるほどと納得したものだった。 しかしその後、教育文化施設の情報設計を通じて メディア環境仕様やメディアリテラシーについて考えるたびに、 どんどんこの言葉の意味が深いと

  • 同床異夢のプログラミング教育

    小中学生を対象とするプログラミング教育への注目が高まっている。今月18日~20日に開催されていた教育ITソリューションEXPOの「学びNEXT」ゾーンにはプログラミング教育用コンテンツが展示され、来訪者がひしめいていた 。最近のプログラミング教育への期待・関心の高まりを肌で感じられるイベントであった。今、教育界・IT業界から注目されているプログラミング教育について、既存の取り組みを整理しつつ、今後必要となる検討事項について考える。 「プログラミング教育」でイメージするもの 2016年4月19日の産業競争力会議をはじめ、政府によるプログラミング教育必修化への言及が増えたことにより、プログラミング教育へ注目が集まっている。そのため、SNS等でも様々な意見が飛び交っている。 好意的なものには「IT人材育成やITリテラシの底上げにつながる」と期待するもの等があり、批判的なものには「小学校でプログラ

  • 医療ICTの普及に欠かせないセキュアなインフラの可用性確保

    ICTの利活用による業務の高度化・効率化は、様々な分野で長らく言われ続けているテーマである。医療分野においても、電子カルテや健康情報の共有・連携に向けた取組が行われている。こうした背景を踏まえて、今回は病院等におけるICTインフラ整備に関する話題を取り上げる。 病院における電波環境の改善 病院に通院・入院した際に、携帯電話が使える場所を探して彷徨ったことがある方も多いだろう。以前は携帯電話の電波が医療機器に与える影響への懸念から、多くの病院で携帯電話の使用を大幅に制限していた。しかし、携帯電話と医療機器の双方の改良の結果、適切に管理することで深刻な影響が起こりにくいことがわかってきた。その結果、病院における携帯電話の使用制限は改善されつつある。 こうした電波環境の問題に長年取り組んできた電波環境協議会(EMCC)では、2016年4月4日に「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手

  • アメフトからアマチュアスポーツ×ICTを占う

    2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、国内ではスポーツにICTを活用する取り組みが加速している。今年の8月、総務省では「スポーツ×ICTワーキンググループ」を立ち上げた 。そこには「ICTの活用により、スポーツ分野の裾野を拡大、スポーツ人口やファンを増加させることで、スポーツ市場の活性化を目指す」とあり、国の代表選手育成だけでなく、アマチュア選手やファン向けのICTに目が向けられていることがわかる。 では、現在ICTの活用が進んでいるスポーツは何かと考えると、日々の練習からICTをインフラとして完全に取り込んでいるスポーツである”アメリカンフットボール”(アメフト)はその一つと言える。社会人チームだけでなく、学生チームでも必要に迫られてICTの活用が進んでいる。国内ではマイナースポーツのアメフトの、とくに学生アメフトチームでのICT化は、今後のアマチュアスポーツのIC

  • IoT時代の発展のカギはサイバーセキュリティ対策

    最近は、IoT関連分野で夢のある話が多く聞かれる。通信技術と小型デバイス、さらにはデータ処理がいずれも高度化する中で、新しいビジネスの創造や、既存ビジネスの効率化などが推進されている。今回は、そうしたIoT時代に欠かせない、サイバーセキュリティ対策について考えてみた。 IoT時代のサイバーセキュリティとは IoT時代になると、ネット接続される機器数が、現在とは比較にならないほど多数になるといわれている。たとえばシスコシステムズ社の調査では、2013年時点で100億個であったモノが、2020年までには500億個のモノがネットに接続されると予測されている。 こうしてネット接続されるモノは、1)小型デバイスゆえのリソース不足、2)数の多さゆえの人手でのメンテナンス困難、3)社会インフラゆえの10年以上の長期運用、などの要因から、従来のPCやサーバなどと同じようなセキュリティ対策が難しい。 IoT

  • 2015年11月11日 – Take IT Easy

    政府情報システム調達ガイドラインが2015年4月に改訂された。この改訂において、これまで最も大きく変わったところは、規模見積り手法にFP(ファンクションポイント)法を原則的に用いることが定められたところである。 「イ 要求内容に設計又は開発に関する工程が含まれる場合には、原則として、ファンクションポイントの見積り及びその根拠 ※ガイドラインより引用 第3章「予算要求」の「2.経費の見積り」」 これが、見積り時に事業者より取得すべき事項として挙げられている。 ガイドラインをきっかけとし、今後日のシステム開発の規模見積りにFP法の適用が増えていきそうだ。しかし一方で、その格適用には数々の課題が存在している。 FP方式とSLOC方式のちがい FP法は規模見積りの手法の一つであるが、同じ規模見積り手法であるSLOC(Source Lines of Code、ソースコードの行数)方式で見積もっ

  • ワークアウト製品の進化に役立つ運動の先延ばし

    年に一度の健康診断の結果で、何らか運動を続けなければと認めざるを得ず、手始めに活動量計を筆者は購入した。リストバンド型で心拍数等を取れ、データをスマートフォンにBluetoothで送れる優れものである。もっとも、これだけで運動不足という問題が解決するかというとやや疑問ではあり、果たして疑った通りにはなっている。しかし、こうした不安を抱える運動不足な層が、ワークアウト分野の進化を支えているのではないか。次の3方面におけるワークアウト製品の特徴的な動向から、そう前向きに捉えている: ①ソーシャルサービスと連動する製品 ②将来の見通しを与えてくれる製品 ③将来の見通しを与えてくれはしないが、予感をさせてくれる製品 ①ソーシャルサービスと連動する製品 傘までシェアをする(UmbraCity)ような、シェアやソーシャルが隆盛このご時世、こうしたソーシャルサービスによる運動不足への解はあると予想される

  • FinTechは「統合」が普及の鍵

    この半年程度で「FinTech」の注目度が急速に高まっており、テレビ・一般紙でも目にする機会が増えた。海外では数年前から注目されており、今年6月にはWorld Economic ForumがFinTechの動向を整理したレポートを出している。 あらゆる金融サービスがFinTechの対象。技術的には既存技術の応用が中心 FinTechは金融とテクノロジー(ICTであることがほとんどだ)を組み合わせた金融サービスである。日では、資産管理ツールのマネーフォワード、クラウド型会計ソフトのfreee、スマホを利用したクレジットカード決済端末Square・Coiney、手数料率0%のオンライン決済サービスSPIKE等が代表的だ。 日でも海外でも主なプレーヤーはベンチャー企業であり、革新的なサービスを低価格で提供することにより、利便性の向上にとどまらず、金融サービスのあり方まで変えるのではないかと期