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ブックマーク / www.webdoku.jp (20)

  • 【今週はこれを読め! SF編】多様な傾向を集めつつ、懐かしい印象すら受ける間口の広いアンソロジー『2010年代海外SF傑作選』 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    『2010年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF)』 ピーター トライアス,郝 景芳,アナリー ニューイッツ,ピーター ワッツ,サム・J ミラー,チャールズ ユウ,ケン リュウ,陳 楸帆,チャイナ ミエヴィル,カリン ティドベック,テッド チャン,橋 輝幸 早川書房 1,276円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto もっとも新しい十年紀のSF傑作選。思わず身がまえてしまうが、心配はご無用。収録されている作家の人種・経歴・セクシャリティは多様で、作品の傾向もバラエティに富んでいるものの、飛びぬけて先鋭的な表現・主題・論理はほとんどない。ある程度SFに馴染んでいる読者にとっては、むしろ懐かしい印象すら受けるくらいだ。 2010年代SFのトップランナーをひとりあげるならまちがいなくテッド・チャンだが、このアンソロジーは「ソフトウェア・オブジ

    【今週はこれを読め! SF編】多様な傾向を集めつつ、懐かしい印象すら受ける間口の広いアンソロジー『2010年代海外SF傑作選』 - 牧眞司|WEB本の雑誌
    nagaichi
    nagaichi 2021/01/06
    いま『2000年代』を読んでいるので、『2010年代』は積んでます。ネタバレしないでください。
  • 【今週はこれを読め! SF編】ラヴクラフトを切歯扼腕させる十六篇 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    『ラヴクラフトの怪物たち 上』 エレン ダトロウ,植草 昌実 新紀元社 2,750円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『ラヴクラフトの怪物たち 下』 エレン・ダトロウ,植草 昌実 新紀元社 2,750円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto H・P・ラヴクラフトの系譜に連なるフィクションは、ひとつの文芸ジャンルを形成するほどである。ご尊はその気はなかったのだろうけれど、彼の死後、オーガスト・ダーレスによって体系化された「クトゥルー神話」が、合い言葉さえ唱えればだれでも入会できる結社というか、わかりやすいアイテムに満ちた二次創作製造エンジンのようなもので、それが自走的に機能しているのだ。 書の編者エレン・ダトロウは慧眼の編集者だけに(一九八〇年代半ばのサイバーパンクの隆盛も彼女の

    【今週はこれを読め! SF編】ラヴクラフトを切歯扼腕させる十六篇 - 牧眞司|WEB本の雑誌
  • 【今週はこれを読め! SF編】大胆なSFの設定に、現代社会の問題を写しとる - 牧眞司|WEB本の雑誌

    『郝景芳短篇集 (エクス・リブリス)』 郝景芳,及川 茜 白水社 2,640円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 白水社の《エクス・リブリス》は、上質な海外文学を届けてくれる、小説読みにとっては慈雨のごとき叢書だ。そこに初めて収められたジャンルSFが書である。七篇を収めた短篇集。著者のプロフィールを知って、のけぞった。 郝景芳(ハオ・ジンファン)。1984年生まれ、高校在学中に三十歳以下を対象にした文学賞で一等賞を受賞。清華大学(アジアで随一にランクされるエリート校)物理学科を卒業後、同大天体物理センターを経て、同大経営学部で経済学の博士号を取得。 ひとむかし前なら、SFの主人公の設定と見まごうばかりの才媛である。 書の冒頭を飾る「北京 折りたたみの都市」は、ケン・リュウの手で英訳され、2016年のヒューゴー賞中篇部門を受賞してい

    【今週はこれを読め! SF編】大胆なSFの設定に、現代社会の問題を写しとる - 牧眞司|WEB本の雑誌
  • 【今週はこれを読め! SF編】世界全体・歴史全体を外側から描くSF──その最高到達点 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    『ブルー・マーズ〈上〉 (創元SF文庫)』 キム・スタンリー・ロビンスン,加藤 直之,渡邊 利道,大島 豊 東京創元社 4,785円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『ブルー・マーズ〈下〉 (創元SF文庫)』 キム・スタンリー・ロビンスン,加藤 直之,渡邊 利道,大島 豊 東京創元社 4,780円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto キム・スタンリー・ロビンスンの《火星三部作》がついに完結した! 各作品がなんらかのSF賞を受賞している、SF史に残る名作だ。 といっても、原著の完結はもう二十年前なのだけど。邦訳もかなり前に原稿ができあがっていたものの、版元の事情によって第三巻目にあたる書『ブルー・マーズ』だけが伸び伸びになっていた。待ち焦がれていたファンも多いことだろう。 第一部

    【今週はこれを読め! SF編】世界全体・歴史全体を外側から描くSF──その最高到達点 - 牧眞司|WEB本の雑誌
    nagaichi
    nagaichi 2017/05/24
    いま第二部の緑を読みかけだが、火星物に外れなしだね。ところでこの作品、美樹さやかみたいな名前の日本人キャラが出てくるんだw。それと関係ないけど作者の日本人観はルース・ベネディクトの読みすぎだと思うわw。
  • 【今週はこれを読め! SF編】自由を貪る戦争か支配下の平和か。人類家畜テーマの新展開。 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    ロバート・チャールズ・ウィルスンは、ジョン・W・キャンベル記念賞受賞の『クロノリス--時の碑--』(2001年)、ヒューゴー賞を受賞した『時間封鎖』(2005年)を開幕篇とする三部作など、大仕掛けの「SFアイデア」と緻密な「心理描写」で定評のある人気作家だ。正直に言うとぼくは「心理描写」がどうも苦手で、この作家のこれまでの作品はもうひとつ乗りきれずにいたのだが、書(2013年)は「SFアイデア」のほうが思いきりの剛速球でワクワクしながら読み通すことができた。 空の上に見えない超越的知性がいて、ひそかに人類をコントロールしている! なんと、エリック・フランク・ラッセル『超生命ヴァイトン』と同趣向のアイデアだ。昔懐かしいWAP(We are property=人類家畜)テーマですね。ラッセルは超常現象研究のパイオニアであるチャールズ・フォートの影響を受けており、人類を支配しているミステリアス

    【今週はこれを読め! SF編】自由を貪る戦争か支配下の平和か。人類家畜テーマの新展開。 - 牧眞司|WEB本の雑誌
    nagaichi
    nagaichi 2015/09/08
    買ったけど、今のとこ積んでる。『時間封鎖』3部作の人なので、いやらしい社会派SFを期待してる。
  • 【今週はこれを読め! SF編】現代日本SFの幅の広さを詰めこんだショーケース - 牧眞司|WEB本の雑誌

    あらためて「SFはいろいろだなあ」と感じいる。「いろいろ」の幅を年刊SF傑作選のパッケージにギチっと収めてみせるのが、大森・日下コンビの慧眼と手腕だ。幅がずいぶん広いため、ここに収められた18篇(2014年発表作+同年創元SF短編賞受賞作)のすべてを「うん、傑作!」と頷いて読むひとはあまりいないだろう。小説の好みが偏向しているぼくはピンとこない作品もいくつかあった。しかし、そういう作品がSFの最前線で生みだされているのを知ることができるのも、このアンソロジーの価値だ。ここで言うSFとはジャンルもしくはマーケットとしてのSFではなく、もっと広義のそれ----SF読者の好奇心・想像力にうったえかける小説漫画一般である。 先ほど「小説の好みが偏向している」と言ったが、自分の新しい好み(それまで思っていなかった小説の楽しみかた)が見つけられるのもこうしたアンソロジーの良さだ。この集では、堀晃「再

    【今週はこれを読め! SF編】現代日本SFの幅の広さを詰めこんだショーケース - 牧眞司|WEB本の雑誌
    nagaichi
    nagaichi 2015/08/05
    いま読んでる。
  • 【今週はこれを読め! SF編】異形環境と化した世代宇宙船、はたして最終的な寄港地は? - 牧眞司|WEB本の雑誌

    SFの古典的題材である世代宇宙船を正面から扱ったオールディスの第一長篇。オールディスはJ・G・バラードとならぶ英国ニューウェイヴの旗頭だが、書はそのムーヴメントが勃興する以前、1958年に発表された作品だ。しかし、すでにこの作家の特質がありありとうかがえる。ここに描かれる世代宇宙船内の異形化した世界は、物理的な環境であると同時に、ひとつの精神空間なのだ。 この船内で生まれた主人公コンプレインは地球もほかの惑星も知らず、またこの船の記録はとうに失われているので、いまいるところだけが彼にとっての唯一の世界だ。船内の空間は広大でいくつもの地域があるようだが、その全貌を把握している者は彼の身近にはいない。その〈居住区〉では前近代的な職位制度によって秩序が保たれており、コンプレインは狩人で野生動物を獲り、肉を売って暮らしていた。そこにはいちおう宗教もあって人々からあまり敬われていないが司祭もいる。

    【今週はこれを読め! SF編】異形環境と化した世代宇宙船、はたして最終的な寄港地は? - 牧眞司|WEB本の雑誌
    nagaichi
    nagaichi 2015/07/21
  • 【今週はこれを読め! SF編】異文化での父子の生活、仮想世界に構成された人生、倫理の根拠を問う - 牧眞司|WEB本の雑誌

    『ゼンデギ』とは耳慣れぬ言葉だが、ペルシア語でLifeを意味する。物語の主要舞台はイランだ。主人公がふたりいて、最初は別々の物語が交互に語られ、徐々によりあわさっていく。 ひとりめの主人公は、オーストラリア人ジャーナリストのマーティンだ。彼は政権が揺らぐイランを取材すべく現地へ赴任する。その際、自宅に保管していたLPコレクションをすべてをデジタル化して保存するが、再生してみるとノイズが入っていた。コンピュータ任せにしたせいで欠損が生じたのだ。冒頭のこのエピソードが作品全体のテーマを反映している。 マーティンはイランの女性と結婚し一人息子ジャヴィードを授かるが、息子が五歳のときにが亡くなりマーティン自身も難病を抱えてしまう。ほかに身よりのない息子の将来を案じたマーティンが考えたのは、自分の代わりの「導き手」をつくることだった。その足がかりとなるのがヴァーチャルリアリティ・システム〈ゼンデギ

    【今週はこれを読め! SF編】異文化での父子の生活、仮想世界に構成された人生、倫理の根拠を問う - 牧眞司|WEB本の雑誌
    nagaichi
    nagaichi 2015/07/14
    思いっきり第二部のネタバレですがな。
  • 【今週はこれを読め! SF編】宇宙図としての精神病棟、頭蓋のなかの火星 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    『エクソダス症候群』の舞台は過酷な環境の火星開拓地、中心となるテーマは精神疾患だ。読みはじめてまっさきに連想したのは、フィリップ・K・ディック『火星のタイム・スリップ』だった。ディック作品では、精神疾患とみなされていたものが実は独特の世界認識・時間感覚の反映だった。『エクソダス症候群』はディックとはまったく別なかたちだが、大胆なアプローチで精神疾患の意味を問うていく。 エクソダス症候群に罹った者は、妄想や幻覚をともなった強い脱出衝動に駆られる。地球ではすでに見られなくなったこの病が、火星で急増していた。ウイルス説、環境汚染説、事説、医源説......さまざまな仮説が立てられるが、決め手は見つからない。その謎をめぐってストーリーが進行し、表面的には医療サスペンス(マイクル・クライトン『アンドロメダ病原体』の精神科版)として読むこともできる。クライマックスでの謎解きもある。だが、それはこの小

    【今週はこれを読め! SF編】宇宙図としての精神病棟、頭蓋のなかの火星 - 牧眞司|WEB本の雑誌
    nagaichi
    nagaichi 2015/07/08
  • 【今週はこれを読め! SF編】伝統的なSFの設定・アイデアの数々に、独自のテーマと風合いを盛りこむ - 牧眞司|WEB本の雑誌

    『怨讐星域』! この表題にたじろぐが、内容はバイオレンスやハードボイルドではなく、あくまで世代宇宙船と惑星植民の物語だ。「怨讐」はしっかりと描かれているが、それは個々人の直線的な感情ではなく、まとまった社会・文化の底流としてである。 たたずまいは伝統的なSFだ。ファンにとっては懐かしい設定やアイデアをいくつも組みあわせながら、梶尾真治一流の温かみとコクのある作品に仕上がっている。物語全体のスケールが大きく文庫版三分冊のボリュウムながら、挿話ごとに独立した山場があり、それぞれに登場人物の心情に沿った感動が味わえる。 太陽フレア膨脹による地球壊滅が予測され、世代宇宙船による脱出が極秘裏に計画された。この宇宙の方舟「ノアズ・アーク」に乗ることができるのは選ばれた三万人だけだ。ちょっと年季の入ったSF読者なら、この発端にJ・T・マッキントッシュの『300:1』を連想するだろう。しかし、マッキントッ

    【今週はこれを読め! SF編】伝統的なSFの設定・アイデアの数々に、独自のテーマと風合いを盛りこむ - 牧眞司|WEB本の雑誌
    nagaichi
    nagaichi 2015/06/17
    1巻読んでたときには、(歴史感覚・社会感覚的に)ツッコミどころ多いなあと思ってたけど、続巻読んでるうちにあまり気にならなくなった。前世紀のハードでないSFって、こんな感じだったかもと。
  • 【今週はこれを読め! SF編】永遠性を獲得した人生において「死後の世界」を問い直す - 牧眞司|WEB本の雑誌

    第2回ハヤカワSFコンテストの大賞受賞作。高度に発達した情報技術をアイデアに用い、人間の意識のありようにアプローチした力作だ。その展開は、グレッグ・イーガンに代表される現代SFのトレンドにつらなる。その一方で、我が身の問題としての死を主題化する姿勢は、小松左京に近い。柴田勝家自身はそういう言葉を使ってはいないが、これは「実存」に関わる小説だ。 作品の構成は複雑で、《贈与》《転写》《弑殺》《蓄積》の各パートが交互に語られていく。この四つの物語で登場人物が重なっているらしいのだが、ひとりの人間が別々の呼称を持っていたり、固有人名がはっきり示されていないパートもあって、判然としない。そもそも、それぞれのパートの時系列も途中までわからない。因果のつらなりを推測していくミステリ的な趣向もあるのだが、この語りかたは、目先の仕掛けではなくテーマと深く関わっているのだろう。つまり、単線で一方向へ流れる時間

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    nagaichi
    nagaichi 2014/12/09
    権六さん
  • 早川書房、月刊誌3誌を隔月刊に - 新文化|WEB本の雑誌

    早川書房は月刊誌「SFマガジン」「ミステリマガジン」「悲劇喜劇」を来年1月から隔月刊化する。SFマガジンは12月25日に2月号を刊行し、2月25日発売の4月号から誌面をリニューアルする。「ミステリマガジン」は奇数月25日刊行。「悲劇喜劇」は2月7日に3月号を刊行した後、隔月刊に移行し、偶数月7日に発売する。 また、2015年の早川書房70周年にむけて「SFマガジン」「ミステリマガジン」のウェブ版の準備も進めているとした。 同社広報課は、隔月刊化について、近年、アニメ・映画化など、原作をマルチメディア化する企画も増え、編集作業により時間をかけて内容をより充実させるためとしている。

    早川書房、月刊誌3誌を隔月刊に - 新文化|WEB本の雑誌
    nagaichi
    nagaichi 2014/11/26
    SF冬の時代の終わりを言祝いでいたら、紙媒体雑誌の衰退に出くわしてしまったな。
  • 火星ひとりぼっち。希望ちょっぴりジャガイモたっぷり - 牧眞司|WEB本の雑誌

    宇宙飛行士マーク・ワトニーは、火星にひとり取り残されてしまった。 新人作家ウィアーが2014年に出版した(それ以前にウェブ公開とオーディオブック版がある)この話題作は、SF版ロビンソン・クルーソーだ。 ロビンソンと聞くとつい「ルララ〜宇宙の風に乗る〜ぅ」と口ずさんでしまうが、そんな悠長な状況ではない。風は風でもこちらは強烈な砂嵐だ。折れたアンテナがスペーススーツを貫いて、マークの脇腹にぶっすり。あまりの激痛に気を失っているうちに、ほかのクルーたちは彼が死んだと早合点して(バイオモニターがフラットになったため)、さっさと帰還の途についてしまう。マークの事故で火星ヤバいと焦ったわけだ。 マークの脇腹の傷は重症ではなかったが、事態はかなり深刻だ。まずアンテナが壊れているので、地球へ連絡ができない。約四年後には次の火星探査隊がやってくるはずだが、どう考えても物資もインフラもそれまで持たない。マーク

    火星ひとりぼっち。希望ちょっぴりジャガイモたっぷり - 牧眞司|WEB本の雑誌
    nagaichi
    nagaichi 2014/09/09
    読んだ。ハードSFとしてのストイックな構成と、軽薄で楽天的な主人公のギャップに萌えるべし。空気調整器とローバーは働き者すぎだとおもた。
  • ハードSFの真骨頂。異世界内の視点・言葉だけですべての物理を究明する - 牧眞司|WEB本の雑誌

    グレッグ・イーガンを現代SFのトップランナーと位置づけることに、ぼくも異論はない(作品の質ではテッド・チャンのほうが上だが、いかんせんチャンは寡作だ)。しかし、人間原理とかコペンハーゲン解釈とかを都合よく用いたメタフィジカルなアイデアが出てくるたび、眉にツバをつけながら読んでいる。これ、なんだかアヤしくないか、と。 その点、『白熱光』は安心だ。すべてがすっきりとフィジカル。これは健全なハードSFだ。ちょっとばかり手強いけれど。 ふたつのストーリーが交互に語られる構成だ。 奇数章は、SF読者にとってはおなじみの未来で進行する。人類が宇宙へと進出して数百万年以上が経過し、ほかの種族(生物由来だけではなく情報空間由来も含む)と融合している。物質現実/電脳空間の越境は日常だし、身体改変もあたりまえなので、誰がどの種族の出身かなどことさら意識することはない。人びとは銀河系全域にはりめぐらされた通信ネ

    ハードSFの真骨頂。異世界内の視点・言葉だけですべての物理を究明する - 牧眞司|WEB本の雑誌
    nagaichi
    nagaichi 2013/12/17
    イーガンは科学や知能がいかに飛躍的に発達した世界を描いても、その底の人間的なるものを書くことを忘れない。ネットの中の知性や異星人の師弟関係すら人間的なものを基盤としているのだ。
  • 異様生態系SFにして異様語彙SF、しかもイーガンばりの多層現実 - 牧眞司|WEB本の雑誌

    これは凄い。異様生態系SFの傑作だ。 表題になっている「皆勤の徒」は第2回創元SF短編賞を受賞したデビュー作。これに同じ遠未来宇宙を舞台にした三篇を併せ、壮大な人類未来史を構成している。しかし、歴史の流れが俯瞰されることはなく、その時点・その場所でおこっている情景が、あくまでそこに生きる者(人間由来かもしれないが、もう何だかよくわからない生物)の世界観に即して描かれる。もう端から端まで、ぞわぞわむんむんでろでろの迫力だ。 異様生態系SFの分野には、オールディス『地球の長い午後』、椎名誠『アド・バード』、筒井康隆「ポルノ惑星のサルモネラ人間」など一読忘れられない作品が多いのだが、『皆勤の徒』の鮮烈さは群を抜いている。まったく新しい生態系をかたちづくるとなれば、そこに生息する各種生物も、それらが備えている器官も、能や生存機能も、また生物間の相互関係性も、すべて馴染みのないものになり、それを表

    nagaichi
    nagaichi 2013/09/10
  • 伊藤計劃の遺稿を円城塔が書き継ぐ - 大森望|WEB本の雑誌

    1月17日に選考会が行われた第146回芥川賞は、円城塔「道化師の蝶」と田中慎弥「共喰い」の2作が受賞した。 東京會舘で開かれた記者会見の席上、次回作に関する質問を受けた円城塔は、伊藤計劃の遺作となった未完の長編『屍者の帝国』を引き継ぎ、完成させる意向を明らかにした。 いわく、 「わたくしはデビューして今年で5年目になるんですけれど、ほぼ同時期にデビューして、3年前に亡くなった、伊藤計劃というたいへん力のある作家がいました。その伊藤計劃が残した冒頭30枚ほどの原稿があります。それを書き継ぐ----といっても、彼のように書くことは無理なんですが、自分なりに完成させるという仕事を、この3年間、ご家族の了承を得てやってきました。そろそろ終わりそうです。『なぜおまえが』という批判は当然あるでしょうが、次の仕事として、やらせていただければと思っています」 この会見は「ニコニコ生放送」で生中継されており

    伊藤計劃の遺稿を円城塔が書き継ぐ - 大森望|WEB本の雑誌
    nagaichi
    nagaichi 2012/01/18
  • 伊藤計劃『ハーモニー』が海外のSF賞を受賞 - 大森望|WEB本の雑誌

    4月23日、今年のフィリップ・K・ディック賞が発表され、伊藤計劃の長編『ハーモニー』の英訳版(アリグザンダー・O・スミス訳、Harmony by Project Itoh)が審査員特別賞(Special Citation Award)を受賞した。 同賞は、作品のほとんどをペーパーバックで発表したP・K・ディックにちなんで、前年にアメリカで出版されたペーパーバック・オリジナルのSF作品を対象に選ばれる賞。 『ハーモニー』は2009年3月に34歳の若さで世を去った伊藤計劃の最後の長編。医療技術の進歩により万人が健康に暮らせるようになった21世紀後半、だれもが健康で平和な社会に対して敢然と反抗を試みた3人の少女と、彼女たちの"その後"を描く。 日では、ハヤカワSFシリーズJコレクションから2008年12月に刊行。国内では、第40回星雲賞日長編部門と、第30回日SF大賞を受賞している。 授賞

    伊藤計劃『ハーモニー』が海外のSF賞を受賞 - 大森望|WEB本の雑誌
    nagaichi
    nagaichi 2011/04/23
  • 「ゼロ年代SF100」(大森望選) - NEWS本の雑誌

    ■国内SF 秋山瑞人『の地球儀』電撃文庫 秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏』電撃文庫 東浩紀『クォンタム・ファミリーズ』新潮社 有川浩『空の中』角川文庫 池上永一『シャングリ・ラ』角川文庫 石黒達昌『冬至草』早川書房 伊藤計劃『虐殺器官』ハヤカワ文庫JA 伊藤計劃『ハーモニー』早川書房 伊藤計劃『伊藤計劃記録』早川書房 上橋菜穂子『獣の奏者』講談社文庫 冲方丁『マルドゥック・スクランブル』ハヤカワ文庫JA 円城塔『Self-Reference ENGINE』ハヤカワ文庫JA 円城塔『Boy's Surface』早川書房 小川一水『老ヴォールの惑星』ハヤカワ文庫JA 小川一水『天冥の標』ハヤカワ文庫JA 奥泉光『鳥類学者のファンタジア』集英社文庫 恩田陸『月の裏側』幻冬舎文庫 恩田陸『ねじの回転』集英社文庫 小林泰三『海を見る人』ハヤカワ文庫JA 小林泰三『目を擦る女』ハヤカワ文庫JA 梶

    nagaichi
    nagaichi 2010/11/27
    既読12冊、積ん読も合わせると15冊か。
  • ジェイムズ・P・ホーガン死去 - 大森望|WEB本の雑誌

    『星を継ぐもの (創元SF文庫) (創元推理文庫 663ー1)』 ジェイムズ P.ホーガン,池 央耿 東京創元社 770円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 日でも人気の高い英国のハードSF作家、ジェイムズ・P・ホーガンが、7月12日の朝(現地アイルランド時間)、世を去ったと、長男のアレックス・ホーガン氏から関係者に伝えられた。享年69。 ジェイムズ・パトリック・ホーガン(James Patrick Hogan)は、1941年6月27日、ロンドン生まれ。 "5万年のアリバイ崩し"(堀晃)と評された1977年発表の第一長編『星を継ぐもの』で一世を風靡し、1981年の星雲賞を受賞した(1982年には『創世記機械』、1994年には『内なる宇宙』で、同じく星雲賞海外長編部門を受賞している。いずれも創元SF文庫刊)。 1986年には、大阪で開

    ジェイムズ・P・ホーガン死去 - 大森望|WEB本の雑誌
  • 10年前より200万円も安くなった35歳の年収~"35歳"を救え - WEB本の通信社|WEB本の雑誌

    『“35歳”を救え なぜ10年前の35歳より年収が200万円も低いのか』 NHK「あすの日プロジェクト,三菱総合研究所 阪急コミュニケーションズ 1,575円(税込) >> Amazon.co.jp >> やタウン 若い頃に思い描いていた「35歳」とは、どういう姿ですか? そう問われて作に登場する35歳の男性の一人がつぶやきます。 「いまじゃ想像もつかないですけど、間違いなく結婚して、子どもがいて、普通の家庭を築いているんだろうなと」。 現在、この男性は埼玉県の職業訓練校に通いながら、再就職に向けて準備中。電気工事士、ボイラー技士など彼が持つ資格は15個以上。どれも国家資格や都知事から与えられる正式な資格ばかり。それでも、就職先が決まりません。もともとトラック運転手として働いていた彼は、ビル管理会社に転職。最終的に年収が300万円を切るようになり、再び転職を考えました。付き合ってい

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