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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/jchz (13)

  • 宋代が生んだ朱子学/儒教が支えた明治維新(小島毅) - 見もの・読みもの日記

    〇小島毅『儒教が支えた明治維新』 晶文社 2017.11 私は『論語』が好きで、中国史も日史もひととおり学んできたつもりだったが、あーなるほど、こういう歴史の見方があるのかあと教えられるところが多くて面白かった。内容は、著者がこの10年間に発表した文章や講演のアンソロジーで構成されている。タイトルに直接かかわる「明治維新」(近代日)と儒教を論じたのは第1章。その前段として、近世における儒教の受容についても論じる。江戸時代初期の好学大名たちは、朱子学の道徳修治論を信条とし、忠義の対象を殿様個人から組織へ、さらに公共へと変えていくことで、武士の文明開化を図った。その後裔に「朱子学的な能吏」大久保利通、伊藤博文がいる。 一方、靖国神社である。靖国の祭神をさす「英霊」という言葉は藤田東湖の詩に由来し、その先には文天祥の詩があり、英霊の正体は朱子学でいう「気」であると考えられる。また、靖国神社を

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  • 遊びの哲学/中国人はつらいよ(大木康) - 見もの・読みもの日記

    ○大木康『中国人はつらいよ-その悲惨と悦楽:伝統から彼らの実像を知る』(PHP新書) PHP研究所 2015.2 PHP社の出版ラインナップを見ると「嫌中嫌韓」の嫌疑をかけられている(私は読んでいない)とか、タイトルから見て「日すごい」を言いたいらしいが並んでいるが、書はその類ではない。著者は明清「軟文学」を専門とする中国文学の研究者。書は伝統を踏まえつつ、中国人のメンタリティを解説したもの。 序章において著者はいう。総じて言えることは中国の人々は元気である。時に文句を言いつつも、日々を前向きに、楽しそうに生きている。実は、みなかなり厳しい状況の中で生きているにもかかわらずである。…ここは全面的に同意。しかし中国人の、いつも元気で前向きな様子に苛立つというか、辟易する日人も多いのではないかと思う。そういう人は、残念ながら中国文化との相性が悪い。私は彼らの明るさ、たくましさが嫌

  • 珍妃?瑾妃の「翠玉白菜」/台北 國立故宮博物院展(東京国立博物館) - 見もの・読みもの日記

    ○東京国立博物館 特別展『台北 國立故宮博物院-神品至宝-』(2014年6月24日~9月15日) もう10年以上前になるが、台北の故宮博物院には行ったことがあり、もちろん「白菜」も見てきた。だから、敢えて東博へ「翠玉白菜」の展示期間(6月24日~7月7日)のうちに行かなくてもいいんじゃないかと思ったが、やっぱりあの「白菜」がどんなふうに展示され、どんな人たちが見に来ているのか、目撃しておきたいと思って、金曜の夜に札幌を発った。 はじめてJetstarというLCCを使ってみる。札幌-羽田便がないので避けていたが、20:10札幌発→成田空港に飛んで、スカイライナーを使うと、日付が変わる前に上野に到着できることが分かった。 翌朝(土曜日)目が覚めると、菓子パンの朝を携帯して、東博に向かう。7:30過ぎに行ってみると、50人~70人くらいの人だかり。まあ穏当なところだと思って並ぶ。8:00を過ぎ

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  • 平成館・前編/台北 國立故宮博物院展(東京国立博物館) - 見もの・読みもの日記

    ○東京国立博物館 特別展『台北 國立故宮博物院-神品至宝-』(2014年6月24日~9月15日) 早朝から並んだ「翠玉白菜」を見終えて(見ていたのは10分くらい)展示室の外に出ると、ちょうど正式開館の9:30。ミュージアムショップのシャッターが開いたので、館を通り抜けて平成館へ向かうことにする。 平成館はすでに混み合っていた。白菜をあきらめて、こっちに回った人たちも多かったのではないかと思う。冒頭は西周時代の青銅器・散氏盤。先日、NHKスペシャル『シリーズ故宮』全2回でも取り上げていたけど、日人的には、ちょっと地味だと思う。でも書道をやっている人には嬉しいのかな。 いきなり目が吸い寄せられたのは、汝窯の水仙盆こと『青磁楕円盤』。きゃああ、これ来たのね!ほんとに来たのね!と感無量。風流天子・徽宗に鍾愛され、清の乾隆帝が底面に御製詩を刻ませた。図録の解説を見たら「手にとると、ふわっと軽い」

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  • 講演・契丹!草原王朝はこんなに凄かった(芸大美術館) - 見もの・読みもの日記

    ○東京芸術大学大学美術館 講演会『契丹! 草原王朝はこんなに凄かった』(講師:市元塁、7月21日14:00~) 同館で始まったばかりの『草原の王朝 契丹-美しき3人のプリンセス-』(2012年7月12日~9月17日)の見どころを紹介する記念講演会。私は、2011年秋に、この展覧会が見たくて九州国立博物館まで行ってきた。九博が開館以来、6年かけて準備してきたというだけあって、熟成した「愛情」の感じられる、気持ちのよい展覧会だった。この日は、九博研究員の市元さんの講演が聞きたくて出かけた。 開始時間にちょっと遅れて会場に入ったら、いきなり「広開土王碑碑文では…」という講師の声が聞こえて、えっと耳を疑った。永楽5年(395)条にある「稗麗」は契丹のことだと話している。そんなに早い記録が残っているとは…。 一般に「契丹」という名称が歴史に登場するのは、907年あるいは916年の耶律阿保機による建国

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    nagaichi
    nagaichi 2012/07/28
    契丹は耶律氏以前の歴史が長いからね。
  • 江南の清明上河図/蒐めて愉しむ鼻煙壺+中国明・清時代の美術(大倉集古館) - 見もの・読みもの日記

    ○大倉集古館 『蒐めて愉しむ鼻煙壺-沖正一郎コレクション-』+関連展示『大倉コレクション 中国明・清時代の美術』(2012年1月2日~3月25日) 沖正一郎(おき しょういちろう、1926-)氏は、ファミリーマート初代社長を務めた実業家。「鼻煙壺」の蒐集家として知られ、2008年には大阪市立東洋陶磁美術館で、鼻煙壺1,200点の受贈を記念して『鼻煙壺 1000』展が開催された。なので、私はてっきりこの展覧会も、大阪市立東洋陶磁美術館のの「沖正一郎コレクション」を借り受けての企画かと思っていた。そうしたら、違った。1,200点の鼻煙壺を東洋陶磁美術館に寄贈しても、沖氏の手元には、まだ名品・珍品が数々残っていたらしいのである。 展示室に入ろうとして、入口のガラス越しに中を見たとき、人の上背よりもずっと高い大きな展示ケースの床に、小さな鼻煙壺がびっしり並んでいる様子が見えて、噴き出しそうになった

    江南の清明上河図/蒐めて愉しむ鼻煙壺+中国明・清時代の美術(大倉集古館) - 見もの・読みもの日記
  • (2)清朝宮廷コレクション/北京故宮博物院200選(東京国立博物館) - 見もの・読みもの日記

    ○東京国立博物館 日中国交正常化40周年 東京国立博物館140周年 特別展『北京故宮博物院200選』(2012年1月2日~2012年2月19日) 第2部会場の入口は、第1部会場からの流れと、特別展示『清明上河図』を見終わった流れが合流するので、激混み。冒頭には、清朝皇帝の『明黄色彩雲金龍文緙絲朝袍』(いわゆる龍袍)が飾られていて、第1会場とはガラリと時代が変わることを示している。うーん、宋→元→清か。明代の割愛は、やむを得ないところだろう。皇帝の龍袍には、12の美徳のしるしが表されており、中には「虎と猿を描いた一対の壺」なんていうのもあって、探してしまった(裾にあり)。 この部屋は、工芸や服飾・宝飾が中心なので、軽く流すことにした。もっとも、紀元前16世紀の玉製品とか、よく考えると、気が遠くなるような品もあった。汝窯の天青釉の青磁盤、風船のように丸々した、めずらしい形の耀州窯の唐草文瓶など

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  • 2011秋の九州遊:福岡/草原の王朝 契丹(九博) - 見もの・読みもの日記

    ○九州国立博物館 特別展『草原の王朝 契丹-美しき3人のプリンセス-』(2011年9月27日~11月27日) 九博の秋の特別展が「契丹」だと知ったときは、必ず行こう!と思った。契丹は、Wikiによれば、4世紀から14世紀にかけて、満州から中央アジアの地域に存在した半農半牧の民族。10世紀初頭に現在の中国の北部に帝国を建国し、遼と号した。むかし、高校の世界史の授業では、「遼」という国号を年表の端にちらっとだけ見た記憶がある。 私が「契丹」に明確なイメージを持つようになったのは、2003年、中国中央電視台制作のドラマ『天龍八部』を見てからだ。漢人として育てられた蕭(喬)峯が、出生の秘密を知り、「我是契丹人(俺は契丹人だったのか…)」と動揺してつぶやくところは印象的だった。最終的に、彼は自分の民族的出自を受け入れ、「契丹人、一諾千金!」と言い残して、誇り高く死に赴く。嗚呼、蕭峯~。なつかしいな~

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  • 懐かしのシルクロード/仏教伝来の道(東京国立博物館) - 見もの・読みもの日記

    ○東京国立博物館 文化財保護法制定60周年記念 特別展『仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護』(2011年1月18日~3月6日) 気乗り薄の特別展だったが、まあ一応、と思って見てきた。冒頭では、写真、地図、水彩作品等で、平山郁夫氏(1930-2009)の取材旅行(150回以上!)の足跡を紹介。1970年以前は、ヨーロッパとインドが少々だが、その後、1980年までにアジア各地(西はレバノン、ヨルダンまで)を精力的に訪れている。私の記憶では、平山画伯って、既にこの頃(1970年代)から著名人だった気がするが、当時まだ40代でいらしたのね。 以下、地域別に画伯の作品と文化財を展示。第1章「インド・パキスタン」には、山梨・平山郁夫シルクロード美術館の優品を多数招来。赤砂岩のマトゥラー仏の菩薩像頭部いいなあ。来、鼻筋の通った端正な顔立ちなのだと思うが、鼻と口元が欠損しているせいで、憂いを帯びた表情に

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  • 中原に歴史を追う/誕生!中国文明(東京国立博物館) - 見もの・読みもの日記

    ○東京国立博物館 特別展『誕生!中国文明』(2010年7月6日~9月5日) 始まってまもない同展、あまり盛り上がってないなーと思いながら行ってきた。何が目玉なのか、よく分からないのである。基的に言うと、伝統中国の中心地域、いわゆる中原(ちゅうげん)、いまの行政区分では「河南省(かなんしょう)」の協力のもとに行なわれる展覧会のようだ。が、ということが、速やかに理解できる日人は少ないだろう。たぶん「河南省」をどう説明するか?という企画会議の席で、中国最初の王朝である夏(か)、その次の王朝、商(しょう)=殷(いん)ゆかりの地なので「誕生!中国文明」でいいんじゃない?という話になったのではないか、と想像する。 第1部「王朝の誕生」は、「夏」王朝から始まる。70年代後半、私が高校で習った世界史は「殷」が始まりで、教えてくれた先生は「私が学生のときは、周が最初の王朝で、殷は伝説だったのよ」とおっし

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  • 新出土資料は語る/諸子百家(湯浅邦弘) - 見もの・読みもの日記

    ○湯浅邦弘『諸子百家:儒家・墨家・道家・法家・兵家』(中公新書) 中央公論新社 2009.3 近年、近代中国史の面白さにすっかりハマった感があるが、もともと私は古代哲学や古代文学から、中国びいきになったのである。書の標題を見たときは、ほのかな懐かしさを感じて手に取った。書は、副題のとおり、儒家(孔子、孟子)・墨家(墨子)・道家(老子・荘子)・法家(韓非子)・兵家(孫子)の思想を解説したもの。興味深いのは、近年の考古学的発見と研究の成果が、多数紹介されている点だ。 私が中国の古代哲学に興味を持った頃、それはもちろん1970年代以降の話だが、当時、気軽に手に取れたは、吉川幸次郎とか金谷治とか「大家」の校註で、20世紀の初め、敦煌で発見された古写の衝撃が「最新」の話題だった。 ところが、1970年代以降、中国では「まとまった古代文献がほぼ完全な姿」で出土するという発見が相つぐ。代表的なも

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    nagaichi
    nagaichi 2009/04/15
    買ったので、あとで読む。
  • 1階は歴史資料/コレクションの精華(神戸市立博物館) - 見もの・読みもの日記

    ○神戸市立博物館 第100回特別展『コレクションの精華-つたえたい美と歴史』 http://www.city.kobe.jp/cityoffice/57/museum/main.html 最後は1階。前回訪問時(3月)、『泰西王侯騎馬図』の複製が飾られていたホールには『四都図・世界図屏風』が出ていた。もちろんホンモノ(重要文化財)。屏風の前には、1572~1618年に刊行された図書『世界都市図帳(Civitates Orbis Terrarum)』が開かれており、比較して眺めることで、屏風に描かれたリスボン、セビリア、ローマ、コンスタンチノープルの四都の姿が、当時の地理情報に基づいていることが分かる。 いくぶん残念だったのは、展示ケース前のホールで、夏休みこどもむけ講座「土器づくり教室」が行われていて、粘土を床にたたきつけては、きゃっきゃとはしゃぐ小学生でうるさかったこと。まあ、これも博物

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    nagaichi
    nagaichi 2008/08/08
    「「見ないことにする」歴史というのは、やっぱり、どこかおかしいと思う。」
  • 歴史の中心/紫禁城(入江曜子) - 見もの・読みもの日記

    ○入江曜子『紫禁城:清朝の歴史を歩く』(岩波新書) 岩波書店 2008.7 北京オリンピックを意識した便乗企画なのかもしれないが、それはどうでもいいことだ。中国史好きにはありがたいが出た。北京、いや中国のシンボルともいうべき紫禁城(故宮)。その広大な敷地に立ち並ぶ宮殿群を、現代の参観コース順にたどりながら(→ここがすごい!)同時に、清朝280年の激動の歴史を、生き生きと語りつくす。手軽で贅沢なガイドブックである。おそらく今後、長年にわたって参照し続ける価値があると思う。 私が初めて紫禁城を訪れたのは、1981年の早春だった。初めての海外旅行、学生ばかりのツアーで、ほとんど何も分からないまま、ガイドさんに従って、南から北へ通り抜けた。2回目は1995年の夏、友人2人と個人旅行を敢行。広い構内には飲施設が無く、歩き疲れて途方に暮れた記憶がある。3回目は2002年の晩秋。スターバックス故宮店

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    nagaichi
    nagaichi 2008/08/03
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