ビジネスブレイン太田昭和 会計システム研究所 所長 中澤 進 未曾有の被害をもたらした東日本大震災、加えての原発問題、若干レベルが異なるが計画停電に伴う各種混乱---。今回の震災は明治維新や第二次世界大戦の敗戦に匹敵する出来事であるかもしれない。その影響は現時点に限らず、今後とも計り知れないものがあるに違いない。被災された方々には心からお見舞い申し上げる。 一連の出来事で筆者が強く感じたのは、情報発信および入手の難しさと、そこから発生する情報格差の大きさである。この情報格差の問題は、経済学の世界において「情報の非対称性」として議論されている問題とほぼ同じであると考えてよい。 グローバル化された証券市場でも、情報の非対称の問題が見られる。IFRS(国際会計基準)は、証券市場において情報の非対称性を最小化する重要な道具である。今回と次回で、震災が顕わにした情報の非対称性について見ていくことにす