「今までの小泉先生の本ではくらしのディテールやその意味が詳細に述べられていたのですが、この本ではそのくらしを営んでいた人々の物語を読むことができてとても面白かった。僕は、自分が知らない時代に普通の家族がどのようなくらしを辿っていたのかということにすごく惹かれるんです。まずくらしがあって、その上に歴史があるんだなということを感じます」(片渕さん) 「この世界の片隅に」でも、戦時下における普通の人々のくらしをきちんと描くことに力を注いだ。そこで浦谷さんが生活史を調べる担当となり、同博物館で開かれている昭和の衣食住を学ぶ講座(「昭和くらしの学校」)にも参加。半年間、月2回博物館に通い、料理や裁縫など当時のくらしについて実技を交えて習ったという。 「主人公のすずが家業の海苔づくりを手伝うシーンでは、動きを知るために広島にある海苔の博物館のようなところに道具を見に行ったりもしたんですが、それでもやり