オーストラリア・タスマニア島南東部ホバート近郊のなだらかな丘陵。南に穏やかな湾を望む一帯の草原には小型カンガルーのワラビーやウォンバットなどの野生動物が時折姿を見せ、オーストラリアの田舎らしいのどかな風景が広がる。 「年長者や子どもたちが丘の上から追い込んだワラビーを、やりを構えた男たちが下で仕留める。ここは狩猟に最適な場所だったんだ」。タスマニア・アボリジナル・センターの文化コーディネーター、デウェイン・エベレットスミス(32)が祖先の先住民アボリジニに思いをはせた。 だが、リスドンコーブと呼ばれるこの地域は、かつてタスマニアのアボリジニと英国人入植者の間で起きた衝突「ブラック・ウォー」(1820~30年代。期間は諸説)に先駆けて、1804年に入植者が初めてアボリジニを大量虐殺したといわれる場所だった。最近の研究により数百人が犠牲になったとされる。 タスマニア島リスドンコーブの丘をアボリ
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