まるで手乗りスズメバチのようにおとなしく―。高知大学農林海洋科学部農芸化学科長の金哲史教授(59)=化学生態学=が、これまで有効な対応策がなかったオオスズメバチなどに効く成分を見つけた。忌避剤を開発し、学内にベンチャー企業「KINP(キンプ)」を設立。製品化を目指している。 金教授は、スズメバチ類が餌とするクヌギの樹液に、スズメバチが好む樹液と嫌うものの2種類があることに着目。嫌う樹液には、スズメバチ類が餌としない花の香りとなる化学成分が含まれていることが分かった。 研究の結果、この成分をスプレー状にしてスズメバチに吹きかけるとパニックに陥り、一時的に攻撃性を失うことが分かった。この成分は食品添加物にも使われており、安全性が高く、スズメバチ類を殺すのではなく生態系に影響を与えない利点もあるという。...