1957年に売春防止法が施行され、1年の猶予の後、日本全国の赤線の灯が消えた。それから60年以上の歳月が過ぎ、その名残をとどめる建物はごくわずかとなっている。希少な建築ではあるものの、性産業の場であったという特殊な背景もあり、保存に向けた動きは少なく、残された建物も消えゆくのを待つばかりだ。 だが、そんな中、遊廓から転業して旅館として経営を続けている建物も残っている。また、遊廓・赤線建築に惚れ込み、リノベーションして店舗などとして後世に残そうとしている人々もいる。 元ソープ嬢で全国の遊廓・赤線跡を撮影している色街写真家の紅子さんは、各地に残るそうした旅館や店も訪ね歩いてきた。 「私は吉原のソープ街で風俗嬢として働いていました。しかし、そうした働き方しかできなかった過去を後悔しています。ですから、色街の名残を撮り歩くことで、自分が生きた場所がどういう場所だったのか歴史を紐解きながら考えていき