チョウの最新研究で予想外な結論をスリリングに導き出した『武器を持たないチョウの戦い方』(京都大学学術出版会)。多くの種のチョウの雄同士では、互いに相手の周りを飛び回る「卍巴飛翔」(まんじともえひしょう)が観察される。これは縄張り争いと見なされてきたが、実はチョウ自身にはライバル同士という認識はなく、求愛行動だったと結論づけている。なぜ、雄同士で求愛行動をすると考えられるのか? 科学とは本来どういうものなのか? 著者の大阪府立大学大学院研究員・竹内剛氏に話を聞いた。(篠原諄也) 雄同士で求愛する理由とは? チョウの研究をする竹内剛氏 ーーこの研究に関心を持ったきっかけを教えてください。 竹内剛(以下、竹内):野外でチョウの行動を見ている中で、一番謎に思ったことがあります。それはチョウは攻撃をしないのに、雄同士の縄張り争いが成り立っているとされていることでした。これが直感的に理解しにくかったの