人は得意なことで失敗する――この洞察をリーダーシップ支援に活かす筆者らは、今回はリンカーンの例を取りあげる。対人スキルに長けた者ほど、断固たる措置が取れない傾向があるという。寛大さをもって人々の忠誠を得たリンカーンもまた、人事の難題に直面した。 我々はリーダーの「強み」が度を超えてしまう現象について研究し支援を提供しているが、「どんな強みも行きすぎれば、弱みとなる」という考え方に対して、時に反対意見が寄せられる。たとえば、ある学術誌の編集者はこのことを示した研究論文の掲載を見送ったことがある。「リーダーが、部下の支えとなり、深い思いやりや誠実さを示すことにおいて“行きすぎる”ことなどありえない」と断言したのだ。 この編集者の判断は妥当だったのだろうか? 近頃、アメリカの最も偉大な大統領の1人に人々の関心が寄せられているが、この人物こそ恰好の例を示してくれる。大きく分裂していたこの国を活気づ
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