静岡県沼津市の「地域おこし協力隊」として戸田(へだ)地区に赴任し、「深海魚」を活用した新しい事業に取り組んでいる女性がいる。「しずおかの海PR大使」の青山沙織さんだ。観光コンテンツの企画・運営や新しい特産品の開発に従事しながら、“食べられない”深海魚にも着目し、その販売事業を軌道に乗せた。魚の知識もなく、兵庫県出身の青山さんがなぜ活動拠点に戸田地区を選んだのか。そこで手に入れた地域の人とのつながりや、深海魚をブランド化する事業への思いを聞いた。 世界一大きなタカアシガニが水揚げされる「深海魚の聖地」 沼津市の最南部、伊豆半島の北西部に位置する戸田地区。面積の8割以上を山林が占め、主要産業は農林水産業だ。農林業では柑橘類の樹園地も多く、近年はみかんの原種といわれるタチバナの栽培とその加工品づくりに力を入れており、水産業では底引き網漁(トロール漁)、まき網漁、刺し網漁が盛んに行われている。戸田