<くらしナビ ライフスタイル> 災害時の住民避難にかかわる費用を補償します――。高齢者や障害者など自力での避難が難しい人たちの逃げ遅れを防ごうと、損害保険会社は「避難保険」を発売している。災害対策の柱の一つ「公助」を補完する狙いだが、導入には課題があるという。 ●「強制的に促す」 「あいおいニッセイ同和損保」は2年半前から、自治体向けの「避難保険プラン」の提供を始めた。避難所に向かう際のタクシー代、ホテルの滞在費などを補償する。県立広島大大学院教授の江戸克栄さん(55)の提案で商品化された。 商品化のきっかけは2018年7月の西日本豪雨だ。局地的な豪雨で土砂災害や洪水が発生し、広島、岡山、愛媛の3県を中心に200人以上が死亡した。静岡大防災総合センターの牛山素行教授の調査では、死者・行方不明者の62%は屋内で被災し、自宅外に避難した人は12%にとどまった。