先日のKDDIがETWSを広告配信に使っていたという問題、「ETWSには『その他』として地震津波以外の情報を伝えるようにできている」「商業配信に使ってもいいらしい」と言う意見をたくさんいただきました。 まず、種別について。種別(WarningType)として、以下の5つが定められています。 0地震 1津波 2地震と津波 3テスト 4その他 地震、津波はいいですね。テストも、システムのテスト用と言う意味で問題ありません。問題は「その他」。この「その他」なら、広告にでもなんにでも使っていいはず、と言う考え方。残念ながらこれは間違いです。この種別での「その他」は「その他(の警報)」を意味しています(正確には、「その他(other)の場合は、警報内容はすべて警報本文中に記載してあるものとする」と言う規定となっています)。つまり、「その他」は、地震、津波以外の何らかの天災や人災を緊急警報として通知し
ドコモLTE、1.5GHz・15MHz幅の帯基地局運用開始 免許情報でドコモが15MHz幅の展開を開始したことが確認されたようです。端末の心配、とありますが、基本的にはLTEでは基礎的適合試験で1.3MHz~20MHzまで(バンドによって最大幅は違いますが)を確認することが義務付けられていますので、たとえば「バンド1(2GHz帯)対応です」と宣言する端末は必ず20MHz幅まで対応してなければなりません。もちろん、20MHz幅での運用のための国内基準は3GPPから自動的にコピーされているので、3GPP準拠の適合試験を行えば、国内法に則った20MHz運用が可能です(そのために、各国電波法の最大公約数が3GPP基準になっているので)。余談ですが、それでも「最大公約数」の見つからない特殊な例(たとえば日本のPHS帯域の保護規定)については、さらにネットワーク情報との組み合わせで端末動作を規制するよ
最近のMNPキャッシュバックの多額化にはあきれるものがありますが、「ああいったキャッシュバックの資金はどこから出ているのでしょうか、1000円に満たない基本料からペイするとは思えません」というご質問をいただいています。今日はそのキャッシュバック(=販売奨励金=インセンティブ)の話を、昔も書いたような気がするけど改めて。 まずは誰でも知ってる話をあえて書くという実験から。インセンティブとは、新規加入回線を獲得することで、キャリアが販売店に支払うお金のこと。1回線獲得でいくら、という単純なもの以外に、その回線の○ヶ月の平均利用料が○円以上だったらいくらとかオプションをいくつつけたらいくらとか10か月後まで回線売上がある限りいくらとか、とにかくいろんなやり方でインセンティブが支払われています。 販売店は、そういったインセンティブがもらえることをあてにして、端末を値引きすることになります。昔なら単
LTEに関して、次のような質問をいただきました。「セルラーシステムでは繰り返し数を用いて、複数周波数を繰り返し利用するのが常套手段と言いますが、LTEに割り当てられた周波数では繰り返しに必要な最低限の数「3」を実現できないように見えます。どのようにして周波数繰り返しを実現するのでしょうか。」 実は私もWiMAX/LTE/他OFDMを勉強し始めのころは、この辺を疑問に思っていました。で、それに対する一般的な回答に対しても懐疑的にならざるを得ず、なかなか答えにたどり着けなかったものです。ということで、その辺の流れを追うようなお話になりますので、詳しい方には退屈な話になるかも。 そもそもの無線システムでは、同じ周波数を同じ時間同じ場所で使っちゃダメ、という前提があり、セルラーシステムでは、それを解決するために、隣り合った基地局同士は違う周波数にする、という人為的な設計をすることになっています。こ
ソフトバンク、新周波数使用の通信サービスを7月25日から開始 そうそう、ソフトバンクの900に関して面白い話を聞きました。なんか、「ドコモの鉄塔を見つけてその隣の用地を確保して同じ寸法で鉄塔を建ててる」らしいです(笑)。そんなインチキがあったか。なんというか、そのなりふり構わない行動力に脱帽です。いやはや、ソフトバンク、確かに技術もないし誠実さもないけど、こういった発想力には脱帽ですね。これで、全く同じもののない複雑な地形に合わせて細かい干渉調整をしながらコツコツとエリアを広げるというドコモのやってきた努力を一切繰り返すことなく、その結果だけを丸々得ることができるわけです。いや、これは、確かに倫理的にはズルいと評価したくなりますけど、天才的な発想です。「一番つながる」にはなれないかもしれませんが、「最低でもドコモと同等」が実現できるわけで。もちろんドコモをターゲットにしたのは、「エリア満足
先日のドコモの通信障害で一躍時のキーワードとなった「制御信号」なのですが、これに関して、具体的に何を指しているのか、そしてなぜスマホではそれが増えるのか、というご質問をいただきました。 発表されたレベルだと具体的にどの「信号」を指しているのかあまり明らかではないのですが、おそらくは一般的には「シグナリング」と呼ばれているものを日本語訳したところの「信号」ということであろうと仮定して話を進めます。 ドコモの発表では、「チャットやVoIPなど」と、あたかも特定のアプリケーションがこの「信号」を発生させるかのように書かれていますが、基本的には、アプリケーションそのものは(一部の例外を除き)信号を発生させることはありません。あくまでアプリケーションはIPネットワーク上で通常のIPトラフィックを発生させるのみです。 では、実際の障害の原因となった制御信号とは一体何で、どんな時に発生するのか。できるだ
一か月半ほどたったので、改めて。 前回ぼろくそに書いたんだけど、そのあとは、運用で結構快適な状態に保ってます。まず、徹底的にいらないウィジェットとアプリをお掃除して、ホーム画面の真ん中にメモリクリーナーソフトのショートカットを配置。よくある、メモリをギリギリまで強引に確保してほかのアプリのキャッシュメモリを追い出してきれいにするタイプの奴。これを、一日最低2回は起動。 夜中に再起動をかけるようなソフトを探してるんだけどよさそうなのが見つからず。いや、やたらと大量のいかにも関係なさそうなアプリ権限を要求して来たり下手するとrootが必要なやつだったりってばかりで、シンプルなタイマー再起動アプリが意外とないことが判明して。あったら教えてください。 というようなことをやって、今のところ、フリーズ事件はこの2週間は起こっていません。ただ、ブラウザが、起動直後に落ちることは毎日1回は発生します。いや
ドコモ、“半自動”の公衆無線LAN接続アプリ 勝手につないでくれるアプリって言ってるのに「半自動」とか強調するとかひどいなーと思って記事を読んだら本当に半自動で笑った。いや、昨日のニュースのタイトルだけ読んで、au Wi-Fi SPOTの自動接続ツールと同じものをようやくドコモも作ったかー、と思ってて記事の内容は全然読んでなかったんですが、この記事のタイトルにつられて読んでみたら全然違うものでした(苦笑)。いや、つなぐときにボタンを押す、ということも「半自動」ですけど、事前にユーザIDとパスワードを自分で入れなきゃならないってのもめんどくさいですよね。au版の方は自動で3G認証して3G認証データでWi-Fiに入れるようになってる(っぽい)ので本当に全自動なんですよね。私もau Wi-Fi SPOTのユーザIDとパスワード知らないで使えてますから。ドコモはまだWi-Fi認証と3G認証が連携で
オンライン広告、何秒まで我慢できる? ― 米 Poll Position 調査 15秒も我慢できるの!?・・・と思ったら、設問にそれ以下の選択肢がありませんでした。自由回答でいいなら、私は0秒だなぁ(笑)。っていうか、記事直前に全面広告を出すのが流行ってるけど、あれ、主流になってほしくないですねぇ。人間リソース(人生の時間)と収益のはなしをARPUの話で書いたんだけど、結局あれも、「確実に」時間を奪うことで収益化しているわけなんですよね。仮に一日にあれを10回目にするようになったとして、その時間は100%無駄じゃないですか。広告を見ようと思って記事リンクをクリックする人なんてゼロなんだから。だから一日150秒をドブに捨てるわけです。1か月10日で75分。1年で15時間。これだけの時間をただ捨てる。いやだなぁ。記事のわきに広告が出ているのはいくらでもOKだし、記事そのものが広告だってかまわな
LTEとWI-Fiをシームレスに切替、富士通がLTEフェムトセル開発 LTEとWi-Fiをシームレスに、ってことは、IPセッションを維持するってことだと思うんだけど、どういう感じなんでしょうかね。と言っても、基本的にはIPはLTE側のものを使いまわす感じにならざるを得ないはずなんですけど。フェムト自体が一旦LTE(EPC)のIPを終端し、配下のネットワークをLTEも含めてLAN扱いする仕組み(いわゆるLIPA)を取り入れたのかもしれません。理屈上はLIPAフェムトは従来のSAE/EPCに接続可能なはずなので、LTE事業者であればこのフェムト装置を買ってセキュリティサーバさえ用意すればだれでもLTEフェムトを構築できる・・・はずですが、まぁそんな簡単にはいかないでしょうねぇ。SAEは全インターフェースが標準化されてはいますが、結局、事業者都合の独自実装がたくさん入ってたりするものですし。干渉
NTTの光ファイバ貸し出し議論、「一分岐貸しか一芯貸しか」と言うものがあり、今日はこれに関して技術的な面も含めて私の考えをまとめてみたいと思います。 そもそも分岐がどうとかいうのは技術的には何を意味するのか、と言う点から話をしておきたいと思います。ここが完全に前提が違っている(と言うかあえてミスリードして議論している)事業者がいるので。 光ファイバと言うのは、一本の線です。この線の上に流れるビットストリームは、原則、1つだけです。物理層で複数の波長を使うとか何とか、いろいろと拡張する技術はありますが、その物理層が上のリンク層に提供するビットストリームは一つだけです。 しかし実際には、光ファイバのビット速度はものすごく速いため、これを1対1で使うのはもったいない、と言われるような用途がたくさんあります。そこで、相手先が複数ある場合、その近くまで一本の光ファイバを引っ張り、そこで分岐して使っち
ソフトバンクグループ、FTTHサービス接続を巡りNTT東西を提訴 分岐のしくみについてはこちらを参照のこと。とうとう裁判ですか。むちゃくちゃですね。現実として物理上は「8回線のうちの1回線」なんてものは存在せず、単にNTT東西が自社サービスとして1回線の中に8人分のデータを時間区切りで入れているだけなんだよね。これを使いたければエンドユーザとしてその中の一人になりサービス回線に対する正規の料金を支払えば済むだけの話。物理回線の1本を借りて好きな数だけ分岐させてサービスをするのか、サービス回線の1本を借りて再販的にサービスをするのか、選択肢は与えられている。なのに、「エンドユーザ相当のサービスを受けたい、ただしその料金は払わない」と提訴している。何度も言うけど「8つに分岐する」と言うのはNTT東西固有のエンドユーザ向けサービスの付加価値の一つであり、物理的に8つの回線が束ねられているなんてい
au、iPhoneの通信速度だけ優遇か? あーこの話、話が広がっている割には追試データが無くてなんともいえない状況なんですよね。ご存知の通りドコモとauの帯域規制は、「速度規制」じゃなくて「セル内優先度低下」なんです。なので、ある回線が規制対象になっていても、同じ時間同じ場所でフルスピード通信できることもあれば、速度が落ちることもあるんです。セル内の他の通信が瞬間的にでも減っていればドッと速度が出ちゃうのがドコモとauの規制タイプ。なので、一回だけの試験じゃダメで、100回とかそのくらいのデータを積み上げて統計処理しないと規制されているかどうかって分からないんですよね。iPhoneはROM認証タイプっぽいので、加入者IDから機種が判別できるため、iPhoneだけ速度優遇ってことは技術的には不可能じゃないので可能性が無いとは言いませんが、一回だけの試験でこれほど騒ぐのはさすがにおかしいんです
au版iPhone 4S速報レビュー サービスは一部未対応も、CDMA回線の低遅延性能に注目 うーん、低遅延なのはCDMAだからじゃないんですよねぇ。こちらの記事にも書いた通り、理論上はフレームが2msのWCDMAと27msのCDMA2000では、WCDMAの方が遅延はずっと小さくなるんです。にもかかわらずauの方が早いということは、逆に言えばソフトバンクがそれだけ品質の低いバックボーンを使っているということになります。ドコモやauも昔はソフトバンク相当のRTTが出ていたんですが、ある時期から一気に早くなりました。しかしソフトバンクはいつまでたっても遅いまま、というよりむしろ最近どんどん悪化しています。免許数だのなんだので見えやすい基地局数をアホみたいに増やして「品質改善!」なんて言っている裏で、バックボーンの品質改善はまったくやっていないということ。ここから、無線ネットワークについても、
直接通信のネタではないんだけど、通信とのコラボが期待されつつもなかなか普及しないシステム、電子カルテについて考えます。 電子カルテは、単に各病院でカルテを電子化する、と言う話ではなく、それをオンラインに置き、複数の病院が同じカルテを共有できるシステムのことを特に指すことが多いように思いますが、日本ではそういったタイプの電子カルテが全く普及しません。 電子カルテが実現すれば、病院を移るたびに診療情報提供書を抱えて右往左往する必要もないし、他の病院での治療・処方がすぐに参照できるので、それにあわせた治療計画を立てることが出来ます。しかし現状は、別々の病院で別々の治療をする場合、特にどちらかが全身性疾患の治療である場合は、処置や投薬のたびに患者自身が診療情報提供書を持って何往復もするハメになります。 マルチクリニック電子カルテが実現することによる恩恵は明らか過ぎるほどに明確なのに、なぜこれがいつ
無線LANを使った負荷分散(トラフィックオフロード)が盛んに語られるようになり、携帯電話各社とも、Wi-Fi AP数を大幅に増やす方針を発表しているわけですが、一方、各社が勝手にどんどんAPを増やしていくことでいずれ起こる問題が、「Wi-Fiの干渉」の問題です。と言うことで今日はこの話。 まず、Wi-Fiの基本的な話。Wi-Fiは、2.4GHzの「ISMバンド」と言う特殊な周波数を使ったシステムです。この周波数は、電力やマスクなど簡単な規定さえ守った機器であれば、どんな場所でどんな風に電波を発射してもOK、と言う、電波を使ったシステムとしては楽園のような周波数帯。なので、Wi-Fiだけでなく、Bluetoothや無線マウスや簡易トランシーバやコードレスフォンなど、ありとあらゆる「簡易的な無線システム」向けに使われています。 で、とりあえず他のシステムは無視してWi-Fiだけに限っても、どこ
今話題の通信速度倍増技術といえば、もちろんMIMO。これ、実際にはどういう条件で効きやすく、どういう条件だと効きにくいのか、というのがあると思うのですが、今回は私なりの考えを披露してみようという一言。※別サイトからの加筆・再掲です MIMOは、あるアンテナから出たデータと別のアンテナから出たデータを、受信側のアンテナでうまく分離することで実現します。これは、イメージとしては、カメラのフォーカスと似たような感じ。カメラのフォーカスの場合はレンズの焦点距離を変化させて「一番はっきり見える位置」を探すわけですが、電波の場合はアンテナのパラメータを調整して既知のデータをうまく見えるフォーカス位置を見つけ出して、そのときの周囲のデータを読む、ということを別々の系統に対して行うことで複数のデータ列を読み出します。 一応補足ですが、実際は、「アンテナパラメータをちょっとずつずらしてきっちり見える位置を探
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