リフレーション政策の信奉者で“日銀理論”、つまりインフレ抑制を重視する論調を無闇に批判する傾向が強い人を良く見かける。 意外に“日銀理論”はシンプルな理論的な根拠があるのだが、それを調べてから批判していないようだ。批判者には大学教員も少なくないのだが、経済学が専門外で論敵の主張だと思うと、その背景まで頭が回らないようだ。 “日銀理論”の是非はともかくとして、宗教がかった批判をしていても始まらないので、その理屈を確認してみたい。 1. インフレ課税と異時点間の消費配分 単純なモデルを考えよう*1。1期に生産物Yを生産し、1期にC1、2期にC2の消費を行う人々がいる。貯蓄は通貨でのみ行え、2期に1期の残りの生産物と通貨を交換する*2。C1とC2の配分バランスが良いほうが効用水準が高いとする。 ここで税金tを取るか、同等のインフレ課税を取るかを考えよう。税金tは生産物Yから直接徴収するとする。イ
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