むかし、フィリピンに行った。ミンドロ島だったと思うが、乗っていたジープニーがつくと、ストリートチルドレンと見紛うばかりの少年たちが降りようとする乗客に群がった。行き先まで荷物を持っていくよと、乗客たちにさかんにアピールした。 その少年たちは、ひとつのグループのようだった。少年達のなかに、ひとりだけ体の大きい、とりわけ日に焼けた、とんでもなくワルい顔をした少年がいた。グループのリーダーであることは明らかだった。 ボスといった方がぴったりなこの少年は、僕がジャパニーズであることを見ると、我先にとアピールする少年ではなく、仲間の後ろの方にいた体の小さい、松葉づえをついた少年に、オマエ行けよみたいなことを言った。 ほかの少年には、オマエラは手を出すなとばかりに、ボスは冷酷な視線でにらみつけた。ボスは松葉づえの少年にどうしてもやらせたいようだ。 荷物を運ぶといっても、15メートル先に止まっているタク
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