まるで映画のような話である。 【庭に池がある裕福な家庭】で生まれたA氏が、【生活保護を受けながらテレビもない6畳の部屋に住む母子家庭】に生まれたB氏と、出生直後に“取り違え”られてしまっていたことが、60年経ったいま判明した。 明らかになったきっかけは、“裕福な家庭”に取り違えられたB氏が、父親の介護に協力的ではなかったことだ。 その態度に、弟らが血縁関係を疑い、相続問題も重なって、親子関係を確認する訴訟を起こした。もちろん、そのバックボーンには、「家族と似ていない」(両氏親族)というのもあったのだろう。 それにしても、そもそもなぜ“取り違え”が起きてしまったのか? 「今の医療体制なら起きるわけはない。ただ、昭和30年代から40年代は、かなり(取り違えのようなミスが)頻発していたらしいんですね。昭和25年の時は9割が自宅で出産だったんですけど、20年経って昭和45年になると逆転して、9割が