中学・高校の運動部における体罰が社会問題になって久しい。スポ根、ど根性を重んじ、しごきまがいの特訓を強いる指導者もいれば、ひたすら勝利を優先する指導者もいる。日本では、スポーツコーチという分野が未成熟なこともあって、学校のスポ―ツ指導は、旧態依然としたままである。 そんな世界に、彼の方法論が導入されたら、日本の教育界、スポーツ界はどう変わるだろうか。そう思わせる人物がアメリカ西海岸にいる。「勝利」と「人間としての成長」という「ダブル・ゴール」を目指す若者向けスポーツコーチ法のPCA(ポジティブ・コーチング・アライアンス)メソッドの提唱とそれに則したコーチを養成してきたジム・トンプソンだ。 スポーツ教育に関わる指導者は、本音はともかくとして建前では、「スポーツを通して人間的成長を促すことが肝心で、『勝つこと』は二の次」という。 しかしPCAメソッドは違う。これは、「勝ちたい」という人間の本性