カフカをモチーフにしているという話題だけが先行していた「カフカトラックス」を1枚にまとめ(て5曲をプラスし)たマイク・インクによる本人名義の4作目。ピアノをモチーフとした昨年の『フライラント・クラフィエムジーク』(裏アンビエントP189)がかなりいい出来だったので、つい買ってしまった。アート・ワークがよかったせいもある。活動を再開してからの勢いに押されているともいえる。......とはいえ、M:I:5やスタディオ1でやっていたことと大きく隔たりがあるわけでもない。『クラフィエムジーク』の方がリヴァイヴァルしつつあるミュージック・コンクレートとの親和性も高く、新機軸には富んでいたし、「カフカ」という目くらましがなければ、従来と同じミニマル・テクノの範疇でしかない。低音が効いていて、ビートはドイツに特有のメトロノミックなそれ。洗練度は格段に高い。 アルバム全体に散りばめられているのはカフカの小