パテンには詐欺師の魅力がある。前作の目くらましのようなタイトル(『グラックジョーザックソウ』2011年)が誰にも確と発音されないまま堂々とシーンをわたっていたのもおもしろかったし、いまだに素性を明かさないまま「D」とだけ名乗っていることも、もはやちょっと愛すべきエピソードになりつつあると思う。〈ノー・ペイン・イン・ポップ〉から最初のアルバムをリリースしたのが2011年。彼の今作と昨年末のEPが〈ワープ〉から登場したことは、〈エディションズ・メゴ〉と〈メキシカン・サマー〉をまたぐOPNが同名門とサインしたインパクトに次いで、現〈ワープ〉のアブストラクトでアンビエントな方向性を明確にするものとなった。 必ずしもダンス・ミュージックを出自に持たない両者だが、ビート、プロダクション、参照する音楽性、言動、どこかしらインチキな感じがするのがパテンだというのが筆者の印象だ。キャラクターはある意味で対照
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