Mus.hibaのサウンドスケープ ──ヴァーチャルシンガーの「息」遣い佐々木渉 当初、シンセサイザーの開発目的の中には、「この世にあるすべての音を写実的に表現することを目指して発展すること」があった。アナログ方式・FM方式とデジタル化される最中にあっても、もちろん、ヴァイオリンなどの生楽器も再現しようとしてきたのだが、その後、録音した音そのものを切り刻んで自由につなぎ合わせるサンプラーが発達すると、生楽器の再現にはほぼ完全にサンプリング音源に取って代わられる。昨今では、『ファイナルファンタジー』などの高級感が売りのゲーム音楽を初めとし、オーケストラ・アンサンブルの表現には高級サンプリング音源が使われているのが定番になっているのが象徴的だ。 そんな、オーケストラをほぼフル再現したサンプリング技術が、いちばん手を焼いたのが「歌」である。 声のデータを大量にサンプリングしてきたとして、それを歌
![mus.hiba | ele-king](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/f4243829abe53096b4c7a7ebccc00341669de8c0/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fwww.ele-king.net%2Fupimg%2Fsam%2F4909.jpg)