日本語版としては永く絶版状態であったニュートンの代表作『プリンシピア』。たびたび復刊が叫ばれてきたが、ついに42年ぶりにブルーバックスから3ヵ月連続刊行にて復刊されることとなった。それを記念して、今回は訳者である中野猿人(なかの・ましと、1908-2005)氏の「訳者解説」(『プリンシピア 第Ⅰ編』に収録)をWeb用に再編集して特別に公開する。この夏、近代科学発展の端緒をその目で確かめてみてはどうだろうか。 本書(『プリンシピア 自然哲学の数学的原理』)はサー・アイザック・ニュートン(Sir Isaac Newton, 1642-1727)原著『プリンシピア』(“Principia”;くわしく書けば “Philosophiæ Naturalis Principia Mathematica”)の全訳である。 改めて述べるまでもなく、原著はニュートンの主著であり、今日の物理学の原点ともいうべき
物理学、ましてや素粒子と言われると難解という印象を抱いてしまう人も多いと思うが、そんな素粒子物理を題材にした小説『「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた』が好評だ。著者の橋本幸士さんに、「究極の物理」を鑑賞する方法について寄稿いただいた。 「物理って、難しいですね」 自己紹介で「私の専門は物理学なんですよ」というと、9割以上の人たちの反応は、眉間にしわを寄せた顔なのだ。「高校の時は、物理が苦手で」「計算ができなくて」といった言葉が次に続き、次第に僕との距離が広がっていく。 そこで、僕は言うのだ。「超ひも理論って、聞いたことあります? この世界がすべて小さな”ヒモ”から出来てる、っていう物理学の仮説なんですよ。3分で説明します、聞きませんか?」 3分ならいいかな、という笑顔が戻り、「いいですよ、本当に3分なら」という答えが返ってくる。僕の正念場の3分間が与えられた。 「この宇宙のす
130. 重力波検出の意義と今後の進展(2016/2/12) 重力波が検出されました。ここではその科学的意義と今後するべきサイエンス について解説し、私見を述べます。 まず、何がどのようにして観測されたか、ですが、 論文 にあるように、 36 太陽質量(太陽の質量の36倍)のブラックホールと 29太陽質量のブラックホール同士の合体です。起こった場所は正確にはわから ないですが、我々からの距離はわかっていて13億光年です。 何故重力波を観測したというだけでブラックホールであるとか質量とか距離が いきなりわかるのか、というと、ブラックホールの合体、というイベントを考 えると、その最重要なパラメータは質量です。合計の質量で最後の合体の瞬間 にでてくる重力波の周期が決まり、質量の比もわかると振幅の絶対値が決まります。 さらに、最後の合体の前の数回転でどれくらいの速さで軌道が縮んだか、とい うことか
東京大学の高野教授は、「鏡映反転は3つの異なった現象の集まりである」と考える独自の理論にもとづいて、鏡映反転にまつわるさまざまな事実を説明することに成功した。[写真拡大] 東京大学の高野教授は、「鏡映反転は3つの異なった現象の集まりである」と考える独自の理論にもとづいて、鏡映反転にまつわるさまざまな事実を説明することに成功した。 鏡映反転は、一般には「鏡の中では、左右は反対に見えるが、上下は反対に見えない」という現象だと考えられているが、実際には、左右は反対に見えずに上下だけが反対に見える場合、左右と上下の両方が反対に見える場合、どちらも反対に見えない場合、反対に見えるのかどうか判断がつかない場合なども存在する。 今回の研究では、多重プロセス理論として「鏡映反転は1つの現象ではなく、3つの異なった現象の集まりである」と考え、自分自身が鏡に映ったときの鏡映反転(視点反転)、文字が鏡に対面した
南部陽一郎先生を悼む 独創的なアイデアと長期的な展望で素粒子物理学の流れを変えた師 大栗博司 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構長 、 カリフォルニア工科大学教授 ・理論物理学研究所所長 シカゴ大学名誉教授でノーベル物理学賞受賞者の南部陽一郎先生が、7月5日にお亡くなりになりました。94歳でした。南部先生は、対称性の自発的破れの理論、強い相互作用のカラー自由度とゲージ理論による記述の提案、弦理論の提唱など、現代の理論物理学の基礎となる偉大な業績をあげられました。 2008年度のノーベル物理学賞の授賞対象となった「対称性の自発的破れ」とは、自然界が基本法則のレベルでは対称性を持っていても、現実の世界ではそれが隠されている場合があるという考え方です。この研究の発端は、物性物理学における超伝導の現象を説明するために、ジョン・バーディーン、レオン・クーパーとロバート・シュリーファーの3氏が考案した
Caltech's Division of Physics, Mathematics and Astronomy and The Feynman Lectures Website are pleased to present this online edition of Now, anyone with internet access and a web browser can enjoy reading2 a high quality up-to-date copy of Feynman's legendary lectures. This edition has been designed for ease of reading on devices of any size or shape; text, figures and equations can all be zoomed
今回のノーベル物理学賞は大方の人に予想されたように、ヒッグス機構、あるいは特に貢献した人の名前をとってBrout-Englert-Higgs機構(以下BEH機構)に関するものだった。そのうちの一人であるBroutは残念ながら2011年に亡くなってしまったが、50年近い歳月を生き延びたEnglertとHiggsの2人が見事栄冠を勝ち取った。 「ものにはなぜ質量があるのか」という問いに対する重要な解答であり、実験的検証とその理論的な柱であるBEH機構は当然ノーベル賞に値する。 受賞自体に学術上の意味は無く、成人式のように予定された社会的通過儀礼だ。受賞したことで理論の精度が高まるわけではないし、2012年の「発見」も人間が決めた基準にすぎない。数日前と今で理論の輝きに変化はないが、それでも一区切りついたようで実に感慨深い。 標準理論:恐るべき理論の怪物 BEH機構は素粒子標準理論の重要な一角を
このファイルは 高校生程度の知識を持っている人向けに、図とアニメーションで「ヒッグス粒子って何なのか、を雰囲気だけでも理解してもらおう、という意図で作りました。 数式などは使っていませんが、 ヒッグス粒子って何なのか、を理解するために必要なのは、 です。実はこれは、数式を操って物理を理解することよりもずっとずっと難しいことかもしれません。 では、その1から挑戦をはじめましょう。 なお、ファイル中で このような枠と緑の字で示したのは実際にこのファイルを元に講演した時に出た質問 であり、 このような枠と赤の字で示したのはそれに対する答 です(ただし、質問も答も実際のままではなく、編集してあります)。 android(2.1以上)をお持ちの方は、アプリ化したもの(apkファイル)を右のアイコンからダウンロードできます(apkファイルには、Q&Aの部分は入っていません)。 プログラムについて御質問
「小澤の不等式」。数学者の小澤正直・名古屋大学教授が2003年に提唱した,ハイゼンベルクの不確定性原理を修正する式です。小澤教授は30年近くにわたって「ハイゼンベルクの不確定性原理を破る測定は可能」と主張し続けてきましたが,このたびついに,ウィーン工科大学の長谷川祐司准教授のグループによる実験で実証されました。15日(英国時間)付のNature Physics電子版に掲載されます。 小澤の式とはどんなものでしょうか? まず,物理の教科書をおさらいすると,1927年にハイゼンベルクが提唱した不確定性原理の式は,こんな形をしています。 εqηp ≧ h/4π (hはプランク定数,最後の文字は円周率のパイ) εqは測定する物体の位置の誤差,ηpは位置を測定したことによって物体の運動量に生じる乱れです。もし位置が誤差ゼロで測定できたら運動量の乱れは無限大になり,測定してもめちゃくちゃな値がランダ
空の偏光特性の実験 2003/9/13 平野拓一(東京工業大学) 1. はじめに 空が青いのはなぜか?夕焼けが赤いのはなぜか?についてレイリー散乱により説明する。また、偏光板を使って空の偏光特性を調べ、空から来る光はレイリー散乱によって到来していることを確認する。 2. 空が青い理由、夕焼けが赤い理由 2.1 スペクトル 空が青く、夕焼けが赤い理由を簡単に説明する。太陽からは白色光が放射されている。太陽と地球は遠く離れているので、太陽から出た光は(ほぼ)平行光線となって地球に到達する。太陽から放射される白色光はさまざまな波長の光の合成である。白色光はプリズムや回折格子で虹色に分解できる。波長の短いのが紫色であり、波長の長いのが赤色である。波長の短い順に色を言うと、紫(380nm〜430nm)→青→青緑(430nm〜490nm)→緑(490nm〜550nm)→黄(550nm〜590nm)→橙
1 農環研報 24, 1− 21(2006) わが国の米、小麦および土壌における 90Srと 137Cs 濃度の 長期モニタリングと変動解析 駒 村 美 佐 子* ・ 津 村 昭 人** ・ 山 口 紀 子* 藤 原 英 司* ・ 木 方 展 治* ・ 小 平 潔*** (平成 17 年9月 20 日受理) わが国の米(玄米、白米) 、小麦(玄麦、小麦粉)および水田・畑作土中の 90Sr と 137Cs 濃度を 1959 年か ら 42 年間にわって調査した。米、小麦では 90Sr と 137Cs ともに 1963 年に最大値が観測された。この年は、大 気からの放射性降下物の降下量が最も多く記録されている。水田・畑土壌の 90Sr と 137Cs 濃度は、降下量の 多かった 1963 年から 1966 年にかけての最大値を示した。1966 年以降、米・小麦および土壌ともに 90
野尻美保子(高エネルギー加速器研究機構/東京大学IPMU) 久世正弘(東京工業大学理工学研究科) 前野昌弘(琉球大学理学部) 衛藤稔・石井貴昭・橋本幸士(理化学研究所仁科加速器研究センター) 翻訳の許可をオリジナル作成者よりいただいています。 素粒子原子核分野の研究者/院生の皆さん 今回の震災に起因した福島原発の事故について国民の不安が高まっています。チェルノブイリのようになってしまうと思っている人も多いです。 放射線を学び、利用し、国のお金で物理を研究させてもらっている我々が、持っている知識を周りの人々に伝えるべき時です。 アメリカのBen Monreal教授が非常に良い解説を作ってくれました。もちろん個人的な見解ですが、我々ツイッター物理クラスタの有志はこれに賛同し、このスライドの日本語訳を作りました。能力不足から至らない点もありますが、皆さん、これを利用して自分の周り(
記事をご提供くださいました戸塚洋二先生が、7月10日未明にお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。戸塚先生には、6月25日にも取材に応じてくださるなど、本当にお世話になりました。また、取材の際、奥様の裕子様も初対面のゼミ生を快く出迎えてくだいました。この場を借りて心より御礼申し上げます。 6月25日の取材内容は以下に掲載させて頂きました。皆様どうぞご覧下さい。 戸塚洋二先生の「二十歳の頃」インタビュー(7/15 最終版公開) インタビューの模様 2008年6月25日 戸塚先生 ご自宅にて (クリックで原本写真) はじめに ~科学入門開設にあたって 科学入門シリーズ (番外も是非ご覧ください) アインシュタインの「神はサイコロを振らない」 アインシュタインの「E=mc2」 第1回 放射線と太陽のエネルギー源(1) 第2回 放射線と太陽のエネルギー源(2) 第3回 放射線と
コルキット 天体望遠鏡工作キット(手作り望遠鏡)及び地球儀のメーカーです。 望遠鏡販売部のテレスコハウスでは、ビクセン、高橋製作所などの製品も扱っています。
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