精神医療におけるイノベーション 1984年にフィンランドで始まった「オープンダイアローグ」は、「独白」に陥りやすい統合失調症の患者を「対話」の力で治す精神療法です。この「開かれた対話」はシンプルな治療法ですが、統合失調症は投薬による治療が不可欠である、というそれまでの医学界の大前提を崩したのですから、精神医療における画期的なイノベーションと言えるでしょう。 現在では、うつ病、依存症、摂食障害、ひきこもり、家庭内暴力などの治療やケアにも用いられているほか、職場の人間関係や夫婦関係における問題の解決にも有効であることが明らかになっています。つまり、社会生活を営むうえにおいて、対話は、これまでわたしたちが考えていたよりも、はるかに大切であることがわかってきたのです。 効率化のための細分化が視野の狭さを招く いまの日本は、みんなが疲弊し閉塞感が漂っています。組織が大きくなると、効率化のために、機能