ロジックのないストーリーは「絵空事」 、ストーリーのないロジックは「他人事」!? : ひとに「ものを伝えるとき」に思い出したい2つのモード!? ロジックのないストーリーは「絵空事」 ストーリーのないロジックは「他人事」 ・ ・ ・ 人間が物事を認識するときに、異なる2つのモードがあることを指摘したのは、ジェロム・ブルーナー(Jerome Bruner)です。 ブルーナーは、人間の認識のもっとも基礎的なモードとして、いわゆる、Paradigmatic Mode(パラディグマティックモード:論理-科学的様式)と、Narrative Mode(ナラティブモード:物語様式)の2つがあることを論じました。 ▼ まず、「論理-科学的様式」とは、普遍的な真理性と論理的一貫性をもとめ、簡潔な分析・理路整然とした仮説を導く思考様式です。 要するに、「理性・分析」といったもので、物事を認識する。別の言葉でい
ミレニアル世代を「白けさせる」3つの「呪いの言葉」とは何か? ・ ・ ・ 大学院ゼミでは、今年、バーチャルチーム研究のレビュー論文からひもとき、さまざまな文献を大学院生の皆さんと読み解いています。 ここでバーチャルチームとは、「時空間をへだてて、インターネットなどをもちいながら、組織化されている職場」のこと。 そうしたネット空間において、チームはいかに動くのか。そこにリーダーシップはいかに駆動するのか。その成果は、メンバー構成によっていかに変わるのかを探究している分野が、バーチャルチーム研究です。 せんだっては、中原研博士課程の辻和洋さんが、「ミレニアル世代 × バーチャルチーム」にまつわる研究をレビューしてくれました(Hershatter and Epstein 2017)。 文献におけるミレニアル世代とは「1981年以降にうまれ、2000年以降に成人を迎えた世代」のことをさし、いわゆる
リモートワークは「組織記憶」と「組織学習」の危機かもしれない!?:これは「ITオンチで、家庭にも居場所がなく、リモートワークを攻撃したいオジサマ」のためのロジックではない!? リモートワークは「組織記憶」と「組織学習」の危機かもしれない!? ・ ・ ・ 経営学には「組織記憶」と「組織学習」という概念があります。 ここで「組織記憶」とは、「組織のメンバーが何らかの知識を獲得し、それらが共有され、記憶されたもの」と定義します。 このように組織メンバーが、「組織記憶」をつくりあげていく過程で起こるのが「組織学習」です。「組織学習」とは「組織メンバーで生まれた知識などが、組織メンバーに共有され、組織の決まり事になり、活用されていくプロセス」のことをいいます。組織学習の結果、生まれるもののひとつが「組織記憶」です。 ▼ たとえば、今、10人で構成される職場のうちの「Aさん」が、何かの「仕事のやり方」
ポスト緊急事態宣言:「学び」や「働くこと」を急ぎ過ぎたり、詰め込みすぎたりすることに潜む「リスク」!? : 動きたいけれど、心が追いつかない!? 今年の新入生、新入社員は「学び」や「働く」の「かなり手前」にいるので、丁寧にケアやサポートを行っていかなければならないのではないだろうか? ・ ・ ・ 最近、とみに思うことがあります。 3月に端を発した「新型コロナウィルス感染拡大」は、この国の「学ぶこと」と「働くこと」の「時計の針」を、一時期、止めてしまいました。 その間、 9割近い学校が臨時休校に追い込まれました。 多くの新入社員研修が止まったり、延期になったり、オンラインに移行しました。 この国には、 いまだ一度も、学校にいけていない「新入生」がおり いまだ一度も、出社したことのない「新入社員」がいます。 この過去は、非常に残念なことですが、「変えること」はできません。 胸が痛みます。 ▼
人はみな「自己矛盾」に囚われている!? 笑っている自分が、実は、他人から笑われていることに気づくこと:細谷功著「自己矛盾劇場」書評 ひとはみな「自己矛盾」の囚われである しかし、自らが「自己矛盾」に囚われていることに、あまりにも無頓着である ・ ・ ・ 細谷功著「自己矛盾劇場」を読みました。また、猛烈に面白い本でした。著者の知性に敬服しました。 ここで自己矛盾とは「他人を指摘している自分こそが、実は、指摘される対象である」という皮肉な状態ことだと思います。 たとえば、下記のような言葉が「自己矛盾」にあふれた言葉でしょうか。本書には、このような自己矛盾に満ちた言葉が、いわば「喜劇」のように取り上げられ、論じられています。 「これ、絶対、他人に言っちゃやばい話なんだけどさ」 (=自分は言っている) 「お前の意見を押しつけるな」 (=という自分こそが押しつけている) 「視野が狭い奴は、絶対に許せ
オンライン授業は「組織ぐるみの準備」が7割「実施」が3割!:出たとこ勝負の「むごいオンライン授業」を避けるための7つのポイント オンライン授業は「組織ぐるみの準備が7割、実施が3割」です 出たとこ勝負のオンライン授業は「むごい結果」を生み出します! ・ ・ ・ 先週は、勤務する立教大学経営学部の主催で、2回目の「オンライン授業の教員勉強会」が開催されました。 山口和範学部長、尾崎俊哉先生、西原文乃先生などが主催された勉強会で、不肖、わたくし中原も、下記の資料を用いて、自分の経験を語らせてもらいました。 「オンライン授業」のための「最も大切なノウハウ」だけをまとめたスライドを、無償でダウンロードいただけます! http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/11472 2回目になるこの会には、1回目の170名に引き続き、200名近くの専任教員の先生、兼任教員
世界初!? 中原ゼミ「オンライン合宿」でチームビルディングをやってみた!? : ZOOMで新人の組織社会化は可能なのか? ZOOMで「新人の組織社会化」は可能なのか? オンラインでの「チームビルディング」は可能なのか? ・ ・ ・ 中原ゼミ「オンライン合宿」が無事終了しました。 新型コロナウィルスの感染拡大がなければ、例年のようにホテルで2泊3日で行っていたはずの合宿。 例年の中原ゼミ合宿には、1年生から3年生まで全ゼミ生60名ほどが集まります。そのうえで、 1)お互いに(ほぼはじめて)顔をあわせ 2)顔と名前を一致させ、仲良くなり 3)ゼミ生としてのアイデンティティをもち 4)組織へのコミットメントを高め 5)これまでの活動を振り返り、4月以降の活動計画をねること を目的としていました。 要するに、中原ゼミの合宿とは「新入生のための組織社会化のためのイベント」であり、既存の学生にとっては
あなたの会社の「育成風土」は「100点満点の何点」ですか? : 育成風土0点の「ぺんぺん草もはえないような砂漠職場」で疲弊していませんか? あなたの会社の「育成風土」は「100点満点の何点」ですか? ・ ・ ・ 人材開発の領域には「育成風土(developmental Climate)」という言葉があります。 育成風土とは「職場やチームで、どの程度、人材育成を行っているか、に関する風土」のようなものです。せんだって開催されたコーチングの研究会でも(中原OBの斉藤光弘さんが主宰した研究会、感謝!)、この言葉が話題になりました。 たとえば、今、あなたのお近くにあるチームや職場を「ひとつ」だけ思い浮かべてください。そのチームや職場が、下記のような質問項目にどの程度あてはまるかどうかをチェックをしてみましょう。たった5問。1問20点で、満点は100点です。 1.フィードバックの文化が存在し、ひとび
※本日2月20日はブログの更新を中止させていただきます!また明日お会いしましょう! 新任管理職の「脱線」を防ぐためにできることはなにか? ・ ・ ・ 「脱線(derailment:ディレイルメント)」という概念があります。これは、1980年代、リーダー研究の泰斗、モーガン・マッコールらが指摘した概念で(McCall and Lombardo1983)、端的にいえば、「管理職が任命後、思ったように部下を率いることができず、成果がだせず、つまづいてしまうこと」をいいます。 管理職の辞令をもらうのは1秒ですが、そこからが「闘い」のはじまりです。つまり「管理職」は辞令をもらったあと、「実務担当者である自分」を「アンラーンニング(Unlearning)」し、「管理職になっていくこと(becoming a manager)」を学ばなくてはならないのです。 このことを形容して、よく「実務担当者から管理職
折に触れて、思い出すムービーがあります。 ある学校で行われた「賞金100ドル争奪をめざした徒競走のワークショップ」です。 フェアとは何か? 格差とは何か? そうしたことを考えさせられます。もともとは、カタリバの今村久美さんが、ご自身のプレゼンのなかでお使いになっていたのを目にして知りました(感謝)。 このワークショップの目的は「賞金100ドルを争って、学生たちがみんなで、徒競走レースをすること」だけです。 徒競走に勝ったひと1人が、100ドルを手にすることができます。多くの生徒たちが「スタートライン」に横一列に並んでいます。 ただし、ひとつだけ、普通のレースとは異なる「条件」がある。 それは、監督とおぼしき人物がかかげる「ステートメント(条件)」に該当するものは、「2歩ずつ歩数を進めることができる」というものです。 これまで、多くの生徒たちが「スタートライン」に並んでいたのに、このステート
会社・組織のなかでは、昨今、様々な調査が行われます。従業員調査、ストレスチェックの調査、エンゲージメントの調査・・・様々な調査が行われます。さまざまな部門が、勝手気ままに、調査を企画して、実施していきます。 調査は、組織の状況を「見える化」します。 しかし、「見える化」を行っただけで、組織は変わりません。 調査の結果が、現場のマネジャーやメンバーに返され、その結果について話し合われ、何かが意志決定されたときのみ、現場が変わります。 ▼ 組織調査で見える化されているのは、「メンバーの声(Voice)」です。面と向かっては、組織のなかで、なかなか口に出せない気持ちや真意を、調査の質問項目に答えることで、表明しています。 組織調査は、一般の従業員にとっては、突然ふってわいた「巻き込まれ事故」のようなものです。 ただでさえクソ忙しい中、突然、人事や経営企画から、調査票がおくられてくる。10分ー15
研修の「満足度」を問うな、研修転移を問え!? :「現場にインパクトを1ミリも及ぼさない研修」は「共犯関係」によって生み出されている!? 企業研修の目的は「学ぶこと」ではありません。 企業研修の目的は「現場でのひとびとの行動」を変え、成果につなげることです ・ ・ ・ 冒頭の2つのセンテンスは、人材開発の「基本中の基本」です。 人材開発は、その基盤となる理論を「学習理論」におっていますが、しかしながら、その目的は「学習」ではありません。 人材開発の目的は、「組織の目標・戦略達成」のために「現場でのひとびとの行動」を変えることであり、成果につなげることです。 もちろん、「現場での成果」は、人材開発の力だけによって規定されているわけではありません。お客さんの状況もあれば、市況もある。上司のマネジメント行動に規定されるところも、彼等の意志決定のよしあしもあります。 もし「現場での成果」が人材開発の
「他人をホイホイと動かすこと」だけに長けている「暗黒面に堕ちたリーダー」にならないために為すべきこととは何か? 自分を「リード」できないひとが、他人や組織を「リード」することはできない ・ ・ ・ せんだっての大学院ゼミでは、Chrabot-Mason, Ruderman, Nishii(2018) Leadership in a diverse workplaceを、中原研OGの島田さん(現・武蔵野大学教授)が報告してくれました(感謝です!)。 この論文は、「The Oxford handbook leadership and organization」の中にある1章で、多様性のある職場を率いることの諸相」について書かれたレビュー論文です。 この論文で最も興味深かったのは、「多様性のある職場を率いること」を3つのレベルに分けて論じてあったことです。それが冒頭に申し上げた下記の3つです。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く