GUNSLINGER GIRL(1) (電撃コミックス) 作者:相田 裕出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2014/05/01メディア: Kindle版 評価:★★★★★星5つのマスターピース (僕的主観:★★★★★5つ) 相田裕さんのガンスリンガーガールが完結した。ラストの終わらせ方は見事だった。全体の構成的に「これしかない」という落とし方をしていて、ああ作者はとても論理的な人なんだな、と薄々感じてはいたが、ここまで論理的整合性を持つ構造で構築するのか、と感心した。なぜならば、どう見ても最初のアイディア、そして絵柄からいって、そういう論理よりも情念というかイメージ先行型の印象がとても色濃い作品だったので、ここまで論理的に整合性をとって物語を広げて落としてくるとは思わなかったからだ。だって、少女の暗殺者とそれを使役するマスターみたいな構造って、非常に妄想濃度の濃いイメージじゃな
2009年の『週刊読書人』以来3年ぶりに、『文學界』「新人小説月評」で文芸時評みたいなことをやったので(2012年7月号〜12月号)、気がついたことのメモなどを。半年程度なので俯瞰的な傾向もへったくれもないのですけれど、複数の作家が、同じような手法を採用しているのが目についたのでその件について。一言でいうと、それは、人称あるいは視点の問題である。一人称と三人称の交換可能性を追求した作品、あるいは一人称と三人称は交換可能であるという前提で書かれた作品、もしくは一人称を三人称のごとく客体化する作品、はたまた一人称が分裂したりする作品という感じだろうか。少なくとも3年前の09年には、こうした試みはほとんど見られなかったから、ここ数年で開発・採用が進んできた技法であるといってよいと思う。作品にそって具体的に見てみよう。顕著なのは、山下澄人「トゥンブクトゥ」(『文學界』12月号)と滝口悠生「わたしの
音楽業界が苦しんでいる。音楽のパッケージソフトが売れないのだ。「“音楽”自体がもうオワコン」(たとえばアゴラ)という話まである。音楽を「産業」、聴衆を「市場」としか見ていないと、こういう議論も成立してしまう。大間違いだと思うが。 音楽業界は1960年代からこっち、大金を稼げる産業だった。なぜビッグマネーを稼げたかというと、いくらでも複製できるパッケージソフトがばんばん売れたからだ。それまでの音楽家は、実演でしか金を稼げなかったので大金とは無縁だった。 しかしレコード技術と流通システムの確立により、野心的な音楽家はときに大金を稼ぐ機会に恵まれるようになった。ビニール盤、CDと、音楽産業の隆盛はおよそ半世紀続いた。 でも五十年経ってついに、音楽市場から顧客が退場し始めた。長らく「若い人たちが音楽を聴かなくなった」「携帯電話にお小遣いを奪われた」「ダウンロードに顧客を奪われた」と言われて来たがホ
ぼくの大好きな女の子が出るアニメが最終回を迎えました。 その子の名前は 凸守早苗ちゃんデス! 最終回は本当にいい終わり方でした。 正直、六花と勇太はまあ救われるだろうと。そうじゃないと困るぞと。思っていました。 確信めいたものもありました。絶対なんとかしてくれるだろうと。 けれども、ぼくの愛する凸守はどうなるのか、全くわからない状態で11話が終わっちゃったわけですよ。 凸守とモリサマーはやっぱり「光」属性だったんだ。 - たまごまごごはん もう、この一週間胃が痛くて胃が痛くて。 「大丈夫、脇役だからって放置するようなことはない!」と自分に言い聞かせつつも、正直恐怖でした。 だから、最終回で最初凸守が出てきた時、心臓が止まるかと思いました。 冗談でも誇張でもないのぜ。 ●おでこが見えない凸守● 作中キャラが「オマエ誰だ!」と言ってわからなくなるシーンっていろいろなマンガ・アニメであると思いま
まつもとゆきひろが語る「ビューティフルコード」×「プログラマ35歳定年説」に行ってきました〜。今年初めて行ったイベントなのですが、とてもいいお話を聞くことができました。美しいコードとはどのようなものか、またそのようなコードを書けるようになるためにはどうすればいいのかというお話でした。 以下、まとめになります。僕のメモを元にしたので、まつもとさんが話された内容と多少ズレがあるかもしれません。 そもそもコードとは何か 「コードの美しさとは」という前に、そもそも「コード」とは何か。 ソフトウェアの作成はものづくりではない コードは工業製品ではない。コードは、車とかと同じ工業製品だと思われることが多く、例えば次のような勘違いがある。 日本は「ものづくり」が得意だ。だからソフトウェアも「ものづくり」として取り組めばいい 車のように、ソフトウェアも部品をどんどんコピーして組み合わせばできる 違うよ!全
ぼくの大好きな女の子が傷ついていて、つらい。 その子の名前は 凸守早苗ちゃんデス! 10話から11話の展開ほんとつらすぎてもう。もうさあ。 本当はここで六花とゆーたの話をするべきなんでしょうけれども、ぼくは凸守の話しかしません。 だってだよ! 大好きな子が。 好きになった子がさ。 泣いてるんだぞ。 苦しんでるんだぞ。 他に何も考えられねえよ。この一週間。 ●凸守の失……失なんだ?● 六花とゆーたが付き合い始めたのは、まあ予定調和というか原作どおりなので、いいとしましょう。 とてもいいシーンでしたよ。 じゃあ六花を慕っていた凸守はどうだったか。 まあ、切ないよね。 寂しいよね。 凸守にとって六花ってどういう存在なのか。 マスターとサーバント。とはいうけどぶっちゃけ何なのか。 恋愛? いや、そういう考えも燃えるけど、ちょっと違う。 友情? いや、そこまで行ってはいない。あるいはそれ以上の関係。
●日本ペンクラブ・Google 共同声明「日本ペンクラブとGoogleは、図書館プロジェクトに関する著作者の懸念を解決し、協力関係を構築することで合意しました」 2012年12月17日 日本ペンクラブ・Google 共同声明 「日本ペンクラブとGoogleは、図書館プロジェクトに関する著作者の懸念を解決し、協力関係を構築することで合意しました」 日本ペンクラブとGoogle は、本日、「Google 図書館プロジェクト」においてデジタル化された日本語の作品、および将来においてデジタル化される可能性がある日本語の作品の利用について、双方の基本的立場を尊重しつつ、建設的な協力関係を構築していくことについて合意しました。 Googleの図書館プロジェクトでは、米国の図書館においてデジタル化された書籍に、著作権保護期間内の日本の出版物が含まれていますが、そのことについて日本の著作権者から懸念が示さ
「マッチ売りの少女」などの童話で知られる作家、アンデルセンが、デビュー前の学生時代に書いたとみられる作品が母国のデンマークで見つかり、世界的に知られる作家の若いころの作風を知るうえで貴重な資料だとして注目されています。 この作品は、アンデルセンの母国デンマークの国立公文書館で、ことし10月、資料箱の底から偶然、発見され、このほど専門家らによってアンデルセンの作品と確認されたということです。 1830年ごろ、20代半ばでデビューしたと言われるアンデルセンの未発表の作品で、デビュー前の10代後半から20代前半の学生時代に書いたとみられています。 作品は6ページで、主人公の「ろうそく」が「火打ち石」の入った箱に出会い、火をつけてもらうことで、思い悩んでいた自分の価値に気付くというストーリーになっています。 専門家は「マッチ売りの少女」や「みにくいあひるの子」など、アンデルセンのデビュー後の童話と
名探偵マーニーの1巻が出ました。 やっぱ面白いわこれ。 名探偵マーニー 1巻 ところで、最近の少年・青年漫画雑誌って、女性が主人公の作品が多い様な気がするのです。 具体的には、今週発売の、週刊少年チャンピオン2013年1号では、23作品中7作品が女性主人公。 「名探偵マーニー」、「侵略!イカ娘」、「あまねあたためる」、「空が灰色だから」、「ひなこの失敗」、「パンダのこ」、「スポ×ちゃん!」がそうですね。 「木曜日のフルット」は、紺先輩とのダブル主役なので0.5かもしれないけど、そこはカウントしないでおきます。 (今回のカウントは、「ドラえもん」方式で、タイトルになってるからといって主人公とは考えない。「ドラえもん」の主人公は、のび太です。) これって、多い・・・よね? と思ったので、創刊から現在まで、各年1号では女性主人公作品がどの位あったかをグラフにしてみました。 比率にするとこうなりま
これまで何度かやった、Google Scholarの被引用数表示機能を使って、書籍について被引用数の多い順に並べたものの最新版である。 Google Scholarの被引用数表示機能を使うので、昔の文献ほど不利な扱いになる。非ヨーロッパ語の文献についても同様である。 また《名著》ということと、邦訳が手に入りやすいという理由から書籍に限ったので、被引用数が多くても論文は拾っていない。 これは学術コミュニケーションが論文を中心に行われるハード・サイエンスの諸分野がごっそり落ちてしまって、人文書中心のリストになってしまう以外にも、いろいろ問題がある。 たとえばロナルド・コースのEconomicaに掲載された論文The Nature of the Firm"(1937年)と、Journal of Law and Economicsに掲載された"The Problem of Social Cost"
2012年の「小説における最悪な性描写賞(Bad Sex in Fiction Award)」を受賞したカナダ人作家ナンシー・ヒューストン(Nancy Huston)氏2006年10月30日撮影)。(c)AFP/JACK GUEZ 【12月7日 AFP】英国で最も受賞したくない文学賞と言われる「小説における最悪な性描写賞(Bad Sex in Fiction Award)」の今年の受賞者に、カナダ人作家ナンシー・ヒューストン(Nancy Huston)氏(59)が決まった。同賞を主催する英文芸評論誌リテラリー・レビュー(Literary Review)が4日、発表した。 ヒューストン氏は、小説「infrared(仮訳:赤外線)」でこの「ありがたくない名誉」を獲得した。女性の受賞者は3人目。 ロンドン(London)の高級会員制クラブ「イン・アンド・アウト(In And Out)」で行われた
たった1人で出版社を営む。元フリーター、36歳。自らが惚(ほ)れこんだ、埋もれた作品の復刊が主だ。夏葉社の島田潤一郎さんは、営業だって自分の足で全国を飛び回る。吉祥寺(武蔵野市)で起業して丸3年。一歩ずつ、そしてしっかりと愛好家の心をつかんでいる。 島田さんが読書にのめり込んだのは、大学生のころ。卒業後は小説家を志し、アルバイトを転々としたほどだ。ただ、一読者として、新刊は洪水のように出版されるのに、読み継ぐべき本がどんどん絶版になっていく現状を憂えていた。 32歳のときに職を探すも、50社受けて全滅。親友だったいとこが急死したことも重なり、何かが吹っ切れた。「自分でいい本をつくって、多くの人に届ければいい」。自らの貯金をもとに2009年9月、夏葉社を立ち上げた。 出版や編集の経験はもちろんゼロ。吉祥寺を選んだのは、書店が多く、よく遊びにきていた街だったから。駅前に借りた6畳のワンルームマ
2012年11月18日17:00 カテゴリ書評/画評/品評Art Don't be shy and show your code - 紹介 - Webサービスのつくり方 Webサービスのつくり方 和田裕介 出版社経由で著者より献本御礼。 こういうのもなんだけど、自著が上梓されるのと同じぐらいかそれを上回るぐらいうれしい。 でも、タイトルちょっとおとなしすぎたかな。 「Webで一人前になるための33のエッセイ」とか。 Webからただ受け取るのではなく、Webに貢献するために必要な秘訣が、本書一冊でわかるのだし。 本書「Webサービスのつくり方」、副題「「新しいを生み出すための」33のエッセイ」は、どこにでもいそうな(ちょっと|かなり)すけべな一青年が、いかにして一人前のWebサービスデベロッパーになったかの記録。 「我が事のように嬉しい」のは、その過程に私も一役買ってるから。 404 Blo
「砂の女」「他人の顔」などで知られる作家、安部公房(1924〜93年)がデビュー前に書いた、未発表の短編小説が見つかった。終戦の翌1946年秋、満州(現中国東北部)からの引き揚げ船内で書かれたとみられ、人間の根源的な狂気や不安を、高い言語感覚で描いている。後年ノーベル文学賞候補ともされた作家を知る上で、貴重な発見と言えそうだ。 札幌市内の安部の実弟宅で見つかった。タイトルは「天使」。精神を病んだ主人公が天使となって病室を抜け出し、妄想の中で天使の国をさまようという内容だ。 原稿はA5判ノートに黒インクで縦書きされ、全37ページ。訂正の跡が少なく、清書とみられる。安部が当時、東京大医学部の後輩に宛てた書簡には執筆中の小説「天使の国」に触れた箇所があるが、実物はこれまで確認されず、「幻」の作品だった。 執筆当時、安部は22歳。文芸評論家の加藤弘一さんは本作について「ここには生命への肯定がある。
「砂の女」などで知られる小説家で劇作家の安部公房が終戦直後の昭和21年秋、22歳で書いた未発表の短編小説が見つかったことが6日、分かった。北海道に住む安部の実弟、井村春光さんが自宅に保管していた。7日発売の文芸誌「新潮」12月号に全文が掲載される。 短編は「天使」という題で、A5判ノート19枚に黒インクで書かれていた。旧満州から日本への引き揚げ船内という過酷な環境下で執筆されたとみられ、安部の3作目の小説になる。左右の行を空け、横書きノートに縦書きしていくスタイルは初期の自筆原稿と同じで、安部の長女、安部ねりさん(58)が安部の青年期の筆跡であると確認した。保管していた井村さんは文学への関心が強く、安部が発表前の作品をよく見せていたという。 「天使」は、監禁されていた病棟を抜け出した「私」が主人公。通行人や看護人ら外界のすべてが天使に見え、自らをも天使と認識していく主人公の奇妙な一日が滑稽
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