「関係の思想」としてのアフリカ哲学(1990年代―現在) 1960年代に「他者の哲学」として見出されたアフリカ哲学が、1970年代以降、より若い世代の哲学者によって問い直されはじめ、ヨーロッパから見たアフリカのイメージにとらわれない、新しいアフリカ哲学のかたちが模索されていった。──このような発展段階的なストーリーでお話しできるのは、前篇で紹介した、1980年代のムディンベまでです。 というのも、1990年代以降の「アフリカ哲学」をめぐる言説の動向は、非常に複雑化・多様化していくからです[★1]。私はそんなアフリカ哲学の動向を、〈関係〉という視点で捉えるのがよいと思っています。 〈関係〉とは、アフリカ大陸から多くの奴隷たちが連れて行かれた場所であるカリブ海の詩人で思想家のエドゥアール・グリッサン(1928-2011)が練り上げた概念です。簡単に言うと、私たち一人ひとりが、世界中の人々(さら
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