■「日本の知恵」普及作戦 世界遺産登録抹消の危機にある景勝地、ベトナム・ハロン湾の水質改善に、日本の「生活の知恵」を役立てるプロジェクトが、今夏スタートした。湾内で暮らす水上生活者らを対象に環境活動支援団体などが協力、少量の洗剤で洗い物ができるアクリルたわしを普及させる取り組みで、関係者は「現地の住民に環境への意識を高めてもらえれば」と話している。 ベトナム北部にあるハロン湾は、湾内に石灰岩質の島や奇岩が点在し年間200万人が訪れる景勝地。1994年にユネスコの世界自然遺産に登録されたが、近くの鉱山から排出される物質に加え、観光客の増加でホテルや観光船が増加して水質が悪化している。 昨年から水質調査などを行っている大阪府立大大学院工学研究科の大塚耕司教授によると、湾の透明度は現在2〜3メートルで大阪湾の一部と同程度。水質を保全しなければ、単独では影響を及ぼさない程度の生活排水も加わっ