ブックマーク / honz.jp (104)

  • やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日本中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? - HONZ

    やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? アバウトにしてアナーキー。ざっくりまとめるとこうなるのだろうか。なんだかやたらと凶暴でハードボイルドな室町時代。日人は律儀で柔和などという言い方は絶対に通用しない。室町時代の後半は戦国時代だったから、というわけではない。武士たちだけでなく、農民や女性、僧侶までもがなんだか殺気立っているのだ。まずは『びわ湖無差別殺傷事件』から。 びわ湖がくびれていちばん細くなっているところ、琵琶湖大橋のかかっている西側に堅田という町があった。というか、今もある。そこに兵庫という名の青年がいた。“他の堅田の住人と同じく、周辺を通行する船から通行量をとったり、手広く水運業を行ったり、場合によっては海賊行為を働いたり“ と、とんでもない多角経営を営んでいた。湖なので、海賊ではなくて湖賊だが、まぁ、それはよ

    やたらと人が殺される凶暴な時代『室町は今日もハードボイルド:日本中世のアナーキーな世界』に住んでみたいか? - HONZ
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    otakky 2021/06/28
  • 『世界からバナナがなくなるまえに 食糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 - HONZ

    『世界からバナナがなくなるまえに 糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 バナナがなくなってしまうだって!? 多くの人にとっては寝耳に水であろうが、しかしこの話、けっしてありえないことではないようである。 現在、人々が口にしているバナナは、その大半が単一の品種、すなわちキャベンディッシュバナナである。そしてそのバナナには、遺伝的な多様性がまったくない。というのも、キャベンディッシュは種子がなく、株分け(新芽を移植すること)をとおして栽培されるからである。それゆえ、「キャベンディッシュバナナはすべて遺伝的に同一であり、スーパーで買うバナナのどれもが、隣に並ぶバナナのクローンなのである」。 だがよく知られているように、そうした遺伝的多様性の低い生物は、天敵などの影響をもろに受けやすい。実際、かつて人々が口にしていたバナナ(グロスミッチェル種)は、「

    『世界からバナナがなくなるまえに 食糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 - HONZ
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    otakky 2017/07/25
  • 『息子が殺人犯になった コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白』わかりやすい原因などない、という現実 - HONZ

    『息子が殺人犯になった コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白』わかりやすい原因などない、という現実 コロンバイン高校銃乱射事件。1999年4月20日、コロンバイン高校の学生2人が無差別に発砲を行い最終的に自殺、教師1人と生徒12人が死亡し、24人が負傷した傷ましい出来事だ。発生から15年以上が経った今なお学校銃乱射事件の代名詞的存在とされるのは、犯人であるエリックとディランがそれぞれ卒業を間近に控えた、18歳・17歳の少年だったという若さだけが理由ではない。 2年以上をかけて準備されていた計画の周到さ。そして、何百人もの生徒たちでにぎわう昼時のカフェテリアを爆破するという残虐な構想。計算ミスや完成度の低さにより爆弾は不発に終わったものの、実際の被害を遥かに上回るその計画の大きさは、人々の間に驚きと恐怖の渦を巻き起こした。 言うまでもなく、この事件を題材にして過去に多くのが書かれ

    『息子が殺人犯になった コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白』わかりやすい原因などない、という現実 - HONZ
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    otakky 2017/07/24
  • 『Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男』嵐のような天才気象学者の生涯を追う - HONZ

    とにかく私の人生は面白い。安定とは無縁だった 気象学者、藤田・テッド(セオドア)・哲也は、自身の歩みを回顧して、そう語った。書は、彼の生涯をつぶさに書きとめた評伝であるが、この引用の言葉どおり、とんでもなく面白い。なにせ、気象学者ながら、ひじょうに多彩な顔を持ち、絶えず変化する気象現象のように数奇な道のりをたどってきたのだから。 最初に略歴を書いておこう。1920年、福岡県に生まれた藤田は、明治専門学校(現在の九州工業大学)を卒業後、助教授に就任。1953年に渡米し、以後シカゴ大学にて40年以上にわたり局地的な気象現象について研究を重ねる。その後、竜巻の強さを示す階級表「F(フジタ)スケール」の提唱や、飛行機の墜落事故を引き起こす積乱雲からの下降噴流(ダウンバースト)の研究といった業績により、気象学史にその名を残す。1998年に他界。 このように輝かしい経歴を持ち、さらにはフジタテツヤと

    『Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男』嵐のような天才気象学者の生涯を追う - HONZ
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    otakky 2017/06/29
  • 『人類はなぜ肉食をやめられないのか』250万年の愛と妄想のはてに - HONZ

    系がモテるわけ 「さあ、今夜はごちそうにしよう! 何がべたい?」 こう聞かれて、野菜料理を挙げるひとはまずいないだろう。ごちそうは肉料理に決まっている!(ベジタリアンを除いて) レストランでも、メインディッシュと言えば、肉か魚料理——つまり広義の「肉」料理——である。 肉(とくに赤身の)を多く摂れば健康に良くないことは、すでに数々の研究で知られている。また、地球環境への影響も大きく、肉は全温暖化ガスの原因のうち最大で22%を占める。 私たちの健康にも、地球環境にも良くない肉。それでも、いっこうに減る様子はない。それどころか、急速な経済成長をとげる中国やインドなどで、肉はすごい勢いで伸びている。また、米国などの先進国でも、肉の消費量は増えているのだ。 まるで人類は肉に取りつかれているとでも言うように。私たちは、肉に魅了され、肉を愛し、肉がやめられない。いったい、なぜ? ほかの

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    otakky 2017/06/16
  • 『アルカイダから古文書を守った図書館員』 - HONZ

    2013年1月、アルジェリア東部の天然ガス精製プラントで、日人を含む大勢の外国人がイスラム過激派に拘束される事件が起きた。アルジェリア軍と過激派の交戦により結果的に少なくとも37人の外国人が死亡し、内10人はプラント大手「日揮」社員などの日人だった。このニュースが駆けめぐったときの衝撃は、今も記憶に新しい。 では、このとき犯行グループが何を要求していたかを知っているだろうか。そのひとつは、隣国のマリで進行中のフランスによる軍事介入を停止することだった。なぜマリ? そう首をひねる人もいるかもしれない。だがアルジェリアの事件の首謀者は、その軍事介入と浅からぬ因縁があった。そして軍事介入の背景には、1年近くにわたったアルカイダによるマリ北部の支配があり、その陰には危機を受けて敢然と立ち上がったひとりの男がいた。この知られざるドラマ

    『アルカイダから古文書を守った図書館員』 - HONZ
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    otakky 2017/06/15
  • 『脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議』 創造的能力の副産物としての記憶違い - HONZ

    記憶がえてして頼りないものであることは、いまではよく知られている。その象徴的かつ重大な例としてすぐに思い浮かぶのは、記憶違いにもとづく冤罪事件だろう。国際的な非営利団体の報告によると、2015年にDNA鑑定によって受刑者の無実が証明された事件は325件あった。そしてそのうち、じつに235件もの事件で目撃者の誤認が関わっていたというのである。 記憶違いの問題はけっして他人事ではない。と行った初デートの場所を間違って記憶していたこと、あるいは、他人のやった仕事を自分がやったかのように勘違いしていたこと、そのような経験に誰しも思い当たるふしがあるのではないだろうか。しかしそれならば、わたしたちの記憶はどうしてそのように頼りないのか。また、記憶がときとして大きく歪められてしまうのは、いったいどうしてなのだろうか。 書は、そのような問題にイギリスの若手研究者が迫ったものである。著者のジュリア・シ

    『脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議』 創造的能力の副産物としての記憶違い - HONZ
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    otakky 2017/01/08
  • 『最後の資本主義』資本主義を脅かしているのは、信用の弱体化である - HONZ

    作者:ロバート・B. ライシュ 翻訳:雨宮 寛 出版社:東洋経済新報社 発売日:2016-12-02 去る12月2日に日財団で行われた「Bコーポレーションを知る会」に出席してきた。Bコーポレーションという言葉は聞き慣れないかも知れないが、アメリカの非営利団体B Labが運営する、社会的責任や持続可能性などを評価する認証制度で、「TransFair」がフェアトレード・コーヒーを認証するのと同じように、アカウンタビリティや透明性などB Labの掲げる基準を満たした企業に対して与えられる民間認証である。 「B」は「Benefit」(ベネフィット=利益)のことであり、環境、コミュニティ、従業員などの様々なステークホルダーの利益を意味している。アウトドア用品のパタゴニアを始め、現在までに世界50カ国で、約2千社が取得している。日にはまだBコーポレーションのような認証制度は見られないが、日でもB

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    otakky 2016/12/18
  • 『ブルマーの謎 <女子の身体>と戦後日本』ブルマー教授が出来るまで - HONZ

    『ブルマーの謎』は、最近ではすっかり見ることもなくなった女子体操服の「ぴったりブルマー(密着型ブルマー)」をテーマにした一冊である。長年研究を続けた社会学者が手掛けており、ブルマー研究の決定版とも言える内容だ。しかしこの画期的な研究が始まったのも、ゼミ生たちとの苦し紛れのやり取りから生まれた「偶然の産物」であったという。当時、山ゼミに所属していた小松聰子さんに、ブルマー教授誕生までの秘話を寄稿いただいた。(HONZ編集部) 今、私の中では嫉妬の炎が燃えまくっている 。そう、我らがブルマー教授こと山先生がとうとうブルマーを出されたのだ。これが身悶えずにいられようか。 なぜ、私がこんなにもムズムズとしているのか、それを説明するためには15年以上も前に時計の針を戻さなくてはならない。私は書の著者、山雄二教授のゼミに所属する大学3回生であった。卒業グループ研究のテーマを決める打ち合わせの

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    otakky 2016/12/11
  • 『21世紀の戦争テクノロジー 科学が変える未来の戦争』 - HONZ

    人間の性は、私たちを暴力へと促す動機――たとえば捕、支配、復讐――をもちあわせているが、適切な環境さえ整っていれば、私たちを平和へと促す動機――たとえば哀れみ、公正感、自制、理性――ももちあわせている。 ーースティーヴン・ピンカー『暴力の人類史』 書は、Everett Carl Dolman, can science end war? (first published in 2016 by Polity Press) の全訳である。著者エヴァレット・カール・ドルマンのプロフィールについては、書の「はじめに」でご人が紹介しているとおりだが、それによると冷戦時代に成長したことがキャリアのスタートに大きく影響したのが察せられる。人類を核戦争の破滅から救う道として若い日に科学に希望を見出した著者だが、軍隊に籍を置き、他分野の見識を身につけた今日、「科学は戦争をなくせない」と断言する。なぜ

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    otakky 2016/12/11
  • 『浅草博徒一代 アウトローが見た日本の闇 』この一冊がボブ・ディランの魂を揺さぶった(のかもしれない) - HONZ

    ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞とともに、ある一冊の文庫が突如脚光を浴びた。浅草一帯に勢力を張った伝説の博徒、伊地知 栄治の生涯を描いた『浅草博徒一代』である。授賞式を間近にひかえた11月、書はついに緊急復刊。まるで予言めいた一文も記されている、2006年8月1日刊行時の文庫解説を特別に掲載いたします。(HONZ編集部) 書は1906年に宇都宮に生まれ、明治末期、大正、昭和にわたって生きたある一人のやくざが語ったはなしをまとめたもの。伊地知栄治が語ったエピソードをテープに記録し、のちに巧みな構成の元に詳細にいたるまで忠実に書き起こした筆者佐賀純一の努力に敬服するしかない。じつにおもしろい。 伊地知栄治は15歳で悪縁に染まり、中学四年の頃、叔父が営む東京深川の石炭屋に預けられる。上京した栄治は、やがてバクチの世界で生きるようになった。木場、浅草といったいわゆる東京の下町を中心とする界隈

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    otakky 2016/12/10
  • 『戦略家ニクソン』『イラク建国』『ルワンダ中央銀行総裁日記』の3冊から、現代史を学ぶ - HONZ

    没後ほぼ四半世紀を経て、その功績や人物像が見直されつつある国家リーダーが2人いる。田中角栄とリチャード・ニクソンだ。ニクソンはエヴァン・トーマスの『Being Nixon』(2016年3月)が出版ブームに火を付け、10点以上の書籍が発行された。歴代のアメリカ大統領で唯一任期中に辞任した彼は、ソ連とはデタントを進めながら、対中国交正常化の端緒を開き、ベトナム戦争に終止符を打った。しかし、ウォーター・ゲート事件での対応をあやまり、最悪の大統領としてアメリカ国民の心に刻み込まれていた。『戦略家ニクソン』はアメリカ人がニクソンを見直す20年も前に、日人によってフェアに人物像と功績が描かれている。

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    otakky 2016/12/05
  • 『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』 一番大事なのはものの考え方 - HONZ

    今年のアメリカ大統領選挙で勝利するのは誰か? 豊洲新市場は来年3月までに開場する? 消費税は2019年10月に10%へ引き上げられるだろうか? わたしたちはそうした事柄について日々自分なりの予測を立てている。「大統領選挙では間違いなくヒラリー・クリントンが勝利するだろうが、豊洲市場の開場にはおそらくもう少し時間がかかるだろう」という具合に。そうした予測がえてして場当たり的で、それほど正確なものでないことは、わたしたち自身もよく承知している。 だがそうだとしても、専門家の場合はどうだろう。それぞれの事柄に精通している専門家であれば、一般人とは比べものにならないほど正確な予測を立てることができるのではないだろうか。 著者のフィリップ・テトロックは、人々の予測について長年調査してきた研究者である。そんな彼をとくに有名にした研究がふたつある。ひとつは「専門家の政治予測」に関するもので、その研究から

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    otakky 2016/11/04
  • 『子供の貧困が日本を滅ぼす』 - HONZ

    子どもの貧困がよく話題に上るが、その実態を知っている人は意外に少ない。書は、日財団子どもの貧困対策チームがまとめたものであるが、この問題の「鳥瞰図」がとてもよく分かる好著だ。ぜひ、一人でも多くの皆さんに読んでほしい。 まず、6人に1人と言われている子どもの貧困の実態と、貧困が世代を超えて連鎖することが数字・ファクトで明瞭に示される。次いで子どもの貧困を放置すると、将来の所得の減少が総額42兆9千億円、財政収入の減少が15兆9千億円に達するとの試算結果が明らかにされる。子どもの貧困はまさに「ヒトゴト」ではなく「ジブンゴト」であり、放置すると日の未来を確実に閉ざすのだ。 続いて、子どもの貧困の具体的なイメージを喚起するために、現場の声が採録されている。学費を稼ぐために風俗の仕事に就く女性が少なくないという実態を挙げ「福祉は風俗に負けている」、あるいは「家族の団欒があれば犯罪に手を染めなか

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    otakky 2016/10/21
  • 『「イスラム国」の内部へ 悪夢の10日間』ISとは何者なのか? - HONZ

    イラクとシリアに跨るISの支配地域の内情がどの様なものであるのかは多くの謎に包まれている。メディアなどで語られる情報は反IS側の陣営によるプロパガンダ的な要素を含んだ物が多く、その内容のどこまでが真実であるのか釈然としない点も多い。IS側もこれまでジャーナリストを支配地域に入れる事を拒んできた。多くのジャーナリストがIS の戦闘員に拘束され殺されている。書はそんな状況の中で西側陣営のジャーナリストとして初めてISの指導者であるバクダーディーから正式に許可を得てIS支配地域を取材にしたドイツ人ジャーナリスト、トーデンヘーファーのルポタージュだ。 ジャーナリストとしての著者の立ち位置は明確だ。事が起こった際には、批判的精神を持ちつつ当事者双方の意見に耳を傾けるというものだ。当たり前なように聞こえるがこれは当に難しい事だろう。日の事を例にとって考えればわかるだろう。中国北朝鮮などの国々と

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    otakky 2016/10/03
  • 『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』そこは大人の幼稚園だった! - HONZ

    大学に関するノンフィクションは数あれど、藝大がテーマというのも珍しいなと思い読み始めたのだが、中に登場する人物たちは、もっと珍しかった。まさに珍獣、猛獣のオンパレードである。 舞台となる東京藝大は上野にキャンパスがあり、芸術家を志すものたちにとっての最高学府である。上野駅を背にして左が美術学部で、右が音楽学部。美術と音楽、二つの芸術がまさにシンメトリーのように共存しているのが、特徴の一つだ。 まるで町工場のような美校の校舎と厳格なセキュリティに管理された音校の校舎。ほぼ全員遅刻の美校と、時間厳守の音校。なんでも作ろうとする人と、洗い物さえしない人。何もかも自前で飲み会をする人と、鳩山会館で同窓会をする人。 普通なら交わることのなかった両者が、同じ校舎に通う。それが東京藝大なのだ。 著者は、現役の藝大生を伴侶に持つラノベ作家。一緒に暮らしていく中での、あまりに不思議な暮らしぶりに興味を持ち、

    『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』そこは大人の幼稚園だった! - HONZ
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    otakky 2016/09/16
    昔、様々な美大・音大の連中と友人だった。「社会常識」が「一般人の常識」とかけ離れていたので、「珍獣・奇獣」相手の「飼育係」みたいな気分・・・そして東京芸大は最高峰「これは天然記念物!」だと思った。
  • 『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』これは格差拡大が生み出す、人類社会の未来の姿なのか? - HONZ

    とてもおかしな連想かも知れないが、書を読んで映画「ロード・オブ・ザ・リング」を思い出した。実際に見た方も多いと思うが、この映画は闇の冥王サウロンが自らの残忍さ、邪悪さ、そして生きるもの全てを支配したいという欲望を注ぎ込んだ、世界を滅ぼす魔力を秘めたひとつの指輪を巡る壮大なドラマである。 邪悪なものだと知りながらも、一度サウロンの指輪を手にすると、その怪しげな魅力に取り憑かれ、迷宮の闇に転落してしまう。それは、書に登場する、数十億円というおカネを守るために日を捨ててシンガポールへ逃れ、人生そのものを見失ってしまった一部の富裕層の姿とオーバーラップする。 今や大前研一の指摘する、主権国を離れた「ホームレスマネー」は世界全体のGDP(約7千兆円)に匹敵する規模にまで膨れ上がり、また『21世紀の資』のトマ・ピケティが指摘するように、世界全体の純資産の1割弱(数十兆円)がタックスヘイブン(租

    『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』これは格差拡大が生み出す、人類社会の未来の姿なのか? - HONZ
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    otakky 2016/09/12
  • 『酒の科学 酵母の進化から二日酔いまで』 - HONZ

    お酒をいただくときには五感をフル稼働して繊細な味覚を楽しみ、時には酒造工程に思いを馳せて薀蓄を披露するという人がいる一方で、そんなことにはまるで疎く、とにかく酔えばよいという人もいます。残念ながら訳者は後者に属します。そんな訳者でもいつもの一杯を丁寧に飲もうという気にさせてくれたのが書です。 書はAdam Rogers著『Proof: The Science of Booze』の邦訳です。著者は、微生物の生理作用と人類の叡智とが共同でつくり上げた「奇跡の飲み物」について、科学に基盤をおきながらも美酒の香りただよう世界へと読者を導いてくれます。発酵の微生物学から飲酒に伴う人体の生理学まで、また古代の酒造法から現代遺伝学まで、「アルコール飲料」に関する豊富な話題を縦横無尽に語ります。 人類は酵母が糖を発酵してアルコールをつくることを知らないまま酒を造っていました。まずはその時代にまでさかの

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    otakky 2016/08/07
  • 『喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日』解説 by 中原 圭介 - HONZ

    かつて江沢民が国家主席だった時代に、中国の市場経済化が待ったなしで進むなかで、国有企業の民営化が凄まじいスピードで行われた。そのとき、国有企業の膨大な資産を引き継いだのは、大半が共産党の高級官僚だった。このことが、中国が汚職国家となる原点であったといえるだろう。 共産党の高級官僚は自らがトップを務める企業の利益を追求するために、特権をふるいながら汚職にのめり込んでいくことになった。あらゆる産業の分野で彼らの息のかかった既得権益集団が形成される土壌が形づくられていき、官僚と資産家、あるいは官僚と業者の癒着が常態化し、腐敗と汚職を急増殖させていったのである。 中国の汚職や不正は、他国と比べてもスケールが大きい。国有銀行や国有企業の元幹部たちのなかには、1000億円単位の汚職や横領を働いた者もおり、当局に拘束される前に海外へ逃亡してしまっ

    『喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日』解説 by 中原 圭介 - HONZ
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    otakky 2016/07/26
  • 『国際秩序』 キッシンジャーが語る世界史 - HONZ

    イギリスが国民投票でEU離脱を決め、アメリカでは銃の乱射事件が頻発し、南シナ海の緊張は高まり続け、イスラム過激派は世界のあらゆる都市でテロにより多くの命を奪っている。当たり前だと思っていた秩序は、失われてしまうのだろうか。 不確実性がいやましている未来へより確実な一歩を踏み出すために、書『国際秩序』は歴史という名の道標を与えてくれる。昨日までの世界はどのような思想に基づき設計されてきたのか、人類は何を求めて争ってきたのか、異なる価値観がぶつかり合う中でどのように秩序を保とうとしてきたのか。ヨーロッパ、中東、アジア、アメリカ歴史を振り返りながら、国際秩序のこれまでとこれからが考察されていく。 著者ヘンリー・キッシンジャーは、ニクソン政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官、フォード政権で国務長官を歴任し、国際秩序の確立を超大国アメリカの中枢から追い求めてきた。国務長官退任後も世界の指導者達

    『国際秩序』 キッシンジャーが語る世界史 - HONZ
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    otakky 2016/07/12