社説天声人語Astandなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら) 「おかあさんのびょうき」という詩がある。〈おとといからおかあさんがびょうきになりました。ぼくは、おかゆをつくりました。おねえちゃんは、りんごジュースをつくりました。おとうさんは、じぶんのたばこをかいにいきました〉▼作者は熊本市の小学2年、時代は、30代男性の7割近くが喫煙していた頃と思われる。たばこは「大黒柱ご用命」の常備品で、その補給が妻や子に託される家もあった。往時に比べ、喫煙者の肩身は家庭内でも狭い▼昨秋の大幅値上げは、喫煙習慣に深手を負わせるかにみえた。ところが、日本たばこ産業の今年3月期決算は、前期なみの営業利益になる見通しという。たばこ離れが予想ほどではなく、増税幅を超える値上げが埋め合わせたようだ▼世界2位のたばこ会社BATの日本法人によると、喫煙者は平均100日分を買いだめ