眼下を、新緑の美しい森が行(ゆ)き過ぎていく。空は深く青く澄み渡り、今いる場所がそこに近いためか、真っ白な雲とのコントラストが鮮やかだった。 しかし、そんな目を瞠(みは)る光景とは裏腹に、ベアトリーチェの胸を罪悪感が支配していた。 ――本当にこれでよかったのかしら。 誰にも言わず、誰にも相談せず、独断ですべてを行ってしまった。アーベルと外に出てから、自分はとんでもなく軽率なことをしてしまったのではないかと、いやおうもなく不安が込み上げてきた。 だが、もう後の祭りだ。こうしてここまで来てしまった以上、もはや仲間に知らせるすべもない。すべては、アーベルの胸先三寸にかかっていた。 ――でも、私は信じる。 アーベルは、けっして悪人ではない。それどころか、素直すぎるほどに素直な少年だ。他のみんなが疑っても、自分くらいは信じてあげたかった。 すでにかなりの距離を飛んでいた。途中、休憩を挟んだものの、も