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2017年8月3日のブックマーク (1件)

  • つばさ 第二部 - 第六章 第二節

    帝都リヒテンベルクの中央にある大神殿は、今日は常にないほど静まり返っていた。 というのも、神官の大半に暇を出したせいだった。あの騒乱以来、関係者はほとんど休みなしで復旧に努めてきた。 ようやくそのめどが立ったから休みを取らせたというのもあるが、裏の思惑は大神殿にいる人を減らし、これから行われる会議の内容を万が一にも聞かれないようにするためであった。 大神殿の一室、〝御使いの間〟には六人の大神官のうち四人が集(つど)っていた。それぞれが円卓の簡素な椅子に腰かけていた。 「アリーゴの奴は、まだ来ないのか」 「いえ、彼は今日来ません。疫病が流行った地方へ出ていますので」 「ご苦労なことだ。そんなことは、現場の神官に任せておけばいいものを」 鼻で笑った年配の男をライナーは睨みつけるが、人はどこ吹く風だった。 こんな人間としても最低の奴が大神官とは、とライナーは内心恫喝したい気分だったが、このフラ

    つばさ 第二部 - 第六章 第二節
    oukastudio
    oukastudio 2017/08/03
     帝都リヒテンベルクの中央にある大神殿は、今日は常にないほど静まり返っていた。  というのも、神官の大半に暇を出したせいだった。あの騒乱以来、関係者はほとんど休みなしで復旧に努めてきた。  ようやくその