どうしていいかわからない。戸惑いとやるせなさを感じ、新部族は戦いの最中(さなか)だというのに、ひどい混乱のうちにあった。 指揮官がひとりいないというだけで、まともに動くことさえできないでいる。それだけですでに、危機的状況であった。 そんななか、ヴァイクは不可解な思いを抱えたまま、上空を飛び回りながら状況を確認していた。 ――いったい、どうなってる。 新部族の連中は、帝都で見せたあの連動性はどこへやら、全体が明らかにおかしくなっていた。 不快感をあらわにしたヴァイクは、近くにいる萌葱(もえぎ)色のナータンに怒るようにして問うた。 「なんで中途半端な戦い方をしてるんだ!?」 「みんな、アーデを捜しながら戦ってるんだよ! だから、集中できてないんだ」 「ばかな! こんなときに二つの目的を追ってどうする!」 混沌とした状況ではひとつだけでも対応するのが難しいというのに、複数のことを同時にやろうとし