侯都シュラインシュタットの混乱ぶりは、常軌を逸したものであった。 方々で逃げ惑う人々が互いにぶつかり合い、混乱がさらなる混乱を呼び、局所的に沈静化する気配すらない。 現状、暴動の広がりを止めようがなかった。暴徒による蛮行はなおいっそう過激さを増し、この混乱に巻き込まれる人々の数は際限なく増大していく。 ――はたして、これを暴動と呼んでいいものか。 オトマルは城の高い位置にあるベランダから全体の状況を見下ろし、ひとり思案していた。 このままではらちが明かない。被害は確実に拡大し、兵士も民も倒れゆく人々があとを絶たない状況だ。 本来は、こうして眺めている場合ではなかった。 「ええい、どうしたらいい!?」 苛立ちまぎれに、ベランダの手すりを拳で叩いた。 歯ぎしりをして思わず己の剣を摑みかけたオトマルに、部屋の中に控える従者の誰も声をかけることができない。 そんな場に突如として現れた大柄な男に、周