Lesson261 好きを掘りさげる力 ――伝わると伝わらないの境界(4) この就職難に、企業から 「この人といっしょに働きたい」 と思ってもらい、採用される人は、 いったいどんな文章を書いているのだろう? 私は、人気の高いマスコミに受かったIさんに、 “これで受かった”という エントリーシートや作文を見せてもらった。 「実際に内定をもらった文章を、 手元にあるだけ見せてください」 とお願いしたら、4社分もある。 しかも学生たちの超あこがれの出版社ばかり。 なんだか、 私のほうがコンプレックスを感じてしまい 「この人はエリート、 さぞうまくやったにちがいない」と、 読む前は、偏見たっぷりだった。 ところが、読みはじめてすぐ、警戒心がとける。 人を安心させる、人間くさい文章。 「こいつ、いいやつだなあ」と思わず、声がもれ、 読み終えて、 「この人なら、私も一緒に働きたい」とうなった。 この、