財務省のメディア戦略として、いわゆる「ご説明」はかなり以前から行われてきた。筆者が1980年に旧大蔵省に入省した当時でさえ、財政再建キャンペーンがあった。財政統計の大きな数字ではなく、国を家計に例えて実感できる大きさの数字にしたり、文章ではなく、絵(ポンチ絵と呼ばれる)にしたりという手法は今でも使われている。 90年代になると、財政再建ができたので、キャンペーンは大々的にはなくなったが、消費増税について各界への根回しは恒常的に行われていたと思う。94年の「国民福祉税」構想では手痛い批判を浴びていたが、大蔵官僚自身が公の場でも説明を行っていた。 そうした官僚自らが説明するスタイルが一変したのは、98年に発覚した大蔵省スキャンダルだ。とても、官僚が自ら全面に立って説明することはできなくなった。 官僚個人では、マスコミ、政治家、学者へのコネがあったので、個人ベースの「ご説明」は行われていたようだ