本稿を書くきっかけとなったのはある飲み会だった。 私は仕事仲間の映像プロデューサーと、在京キー局の社員である20年来の友人と3人で飲んでいた。仕事柄3人ともドキュメンタリーが好きで、最近観たドキュメンタリー番組や映画の話で盛り上がった。最初は楽しく飲んでいたのだが、不穏な空気が流れだしたのは、東海テレビが制作した「さよならテレビ」の話題になってからだった。 「あの番組はありえない」「放送したことには大きな意味がある」 キー局の社員が、「あの番組はありえない」と批判を始めた。それもかなり強い口調で、全否定と言ってもいい論調だった。彼は話しだしたら番組を思い出して「また怒りが沸いてきた」とまで言い出した。私が「あの番組はすごい作品だった。放送したことには大きな意味がある」と反論すると、火に油を注いだようで、さらに強い言葉で言い返してきた。私も腹が立ち、冷静な議論ではなく、口ゲンカのような状態に
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