なぜ菅義偉首相は1年で退任することになったのか。元外務省職員の前田雄大さんは「菅首相には、質問に答えない、言葉が響かないという批判が付きまとい支持を失った。官房長官時代と変わらない言葉遣いや会見スタイルが裏目になった」という――。 なぜ菅首相が退任に追い込まれたのか 菅義偉首相が自民党総裁選への立候補を断念し、9月末の総裁任期満了に伴って首相を退任することになった。7年8カ月に及んだ安倍政権を支え、昨秋の総裁選で圧倒的な得票で党総裁に選ばれながら、なぜ1年でトップの座を明け渡すことになったのだろうか。 新聞やテレビ報道では、派閥の動向に着目した政局から解説がなされることが多いが、筆者は、菅首相のある“言葉遣い”に決定的な原因があると考えている。 緊急事態宣言の発出や延長に際し、菅首相は繰り返し記者会見に臨んだ。そのたびに向けられたのが「聞かれたことに答えていない」「言葉が響かない」という批