『エストニア国立博物館』タルトゥ、2006~16年。東京オペラシティ アートギャラリーで模型を展示。滑走路跡地に設計した全長1.5kmの施設。photo: Eesti Rahva Muuseum / Courtesy of DGT. 建築家・田根剛(1979年生まれ)が拠点とするパリのアトリエは、どこか発掘現場のように思える。リサーチの過程で出合い、収集した古今東西の膨大な資料が壁一面を埋め尽くしている。 「その場所にしかない記憶を掘り起こすことから始める」のが田根の建築手法だ。「場所とは唯一のもの。空間とは無限。時間とは連続性。記憶とは意味。そしてこれらの中央に位置するのが建築」。田根はそう考え、探究を続ける。 同世代の建築家ふたりとエストニア国立博物館の国際設計競技を勝ちとったのは、26歳の時。10年後の2016年に竣工すると世界が注目した。新国立競技場基本構想国際デザイン競技に提案し
先日、2018年の紅白歌合戦出場歌手が発表となったが、10代や20代に人気の初出場のアーティストに紛れて異彩を放つのが、DA PUMPだ。なんとグループとしては16年ぶりの出場となるらしい。16年前といえば、スポーツでいえば日韓ワールドカップが開催された年。映画『ハリー・ポッター』シリーズの第1作目が公開されて間もないタイミング。そして、アゴヒゲアザラシのタマちゃんが話題となった年である。タマちゃんが水面から顔を出すか出さないかで日本国民が一喜一憂していた当時、DA PUMPの輝きはまさに頭ひとつ抜けていた。 それでも、見かける機会は徐々に減っていった。一体なぜなのだろう。リーダーISSAの卓越した歌唱力やステージでのパフォーマンス力は、業界内でもゆるぎない評価を得ていたといってもよいだろう。だったらどうして、私たちの前から姿を消したのか。僕はこう思うのだ。その評価の高まりが「業界内」過ぎ
日本が世界に誇る最高級の腕時計ブランド「グランドセイコー」。長い年月をかけて生み出された“クオーツを超えるクオーツ”キャリバー9Fと“伝統と革新のメカニカル”キャリバー9S、ふたつのキャリバーを紐解きます。 日本が世界に誇る最高級の腕時計ブランド「グランドセイコー」。デザイナーと技術者が限界に挑戦し生み出されたキャリバー9Fとキャリバー9S、ふたつのキャリバーの秘密に迫ります。 グランドセイコーの最新キャリバー9F86には、時間帯の異なる国や地域の時刻を同時に表示するGMT機能が搭載されています。その開発の鍵は、各分野のプロフェッショナルが集う工房から生まれた“ある小さな部品”が握っていました。 グランドセイコーの最新キャリバー、9F86では、4本の針がそれぞれの速度で動く。速い順に秒針、分針、時針、最も遅いのがGMT針である。GMT針は時針の半分の速度で24時間かけてダイヤルを一周する。
流行は繰り返す、と言われますが、ファッションの最前線から遠ざかっていたラギッドなブーツが再びブレイクの兆しを見せているのも、時代のサイクルの一環かもしれません。ここでは、生まれ暮らすドイツとその周辺のクラフト精神を継承するデザイナー、フランク・リーダーのサイドゴアブーツをご紹介します。アンクルのゴア(ゴム布)を切りっぱなしの革からのぞかせた、アート肌のフランク・リーダーらしさが濃厚な一足です。製造を手がけたのはオーストリアの老舗靴メーカー、「ルーディック ライター」。グッドイヤーウェルテッド製法による本格的な仕上がりに加え、アッパーは革マニア垂涎のホーウィン社の馬革というこだわり具合。モード好きも靴好きも魅了するこのブーツがあれば、冬の足元がビシッとキマります!
伊東豊雄が手がけた「タリアセン2」。フロアスタンドの名品「タリアセン2」は、1933年にライトが設計した体育館に使用するためにデザインされたペンダント照明が原型です。Photo: Yoshihito Imaeda (FATCAT) 四角い箱と遮光板で構成された建築物のようなフロアスタンド「タリアセン」。あまりにも有名なこのプロダクトの生みの親は世界的建築家、フランク・ロイド・ライトです。昨年、ライトの生誕150年を記念してスタートし、好評を博した企画展『HOMMAGE TO FRANK LLOYD WRIGHT フランク・ロイド・ライトへのオマージュ』が、今年も11月22日から11月25日まで、東京・天王洲の寺田倉庫にて開催されます。 現在、販売されている「タリアセンシリーズ」は、日本の照明メーカーのヤマギワが、フランク・ロイド・ライト財団の全面的な協力のもと、現存する図面の検証と現地調査
アートディレクター、コピーライター、建築家、菓子作家という4人のクリエイターがチームを結成し、料理人とは全く異なる視点から新しい餃子づくりに取り組む「トゥギョウザー」。第2回からはゲストを招き、4人と一緒に餃子について考え、話し、実際に餃子をつくる過程などをお届けしていきます。 「餃子については、思うことがたくさんあります」と話すのは、ゲストの和田率。母親である料理研究家の平野レミとキッチンブランド「remy」を立ち上げたクリエイティブ・ディレクターは、子どもたちに手伝ってもらいながら、家庭での餃子づくりを楽しむことも多いそう。 「皮が炭水化物で、中の肉はタンパク質。野菜も入れればそれだけで完全食です。野菜だけならさらにヘルシーで、どんな具材でもそこそこマッチする。餡(あん)を変えれば、365日食べても飽きません」と和田。 餃子のよさは、家族でひとつの食べ物に手を伸ばすという行為にもあると
文:林 菜穂子(baCe Inc.) 写真:Fumihiko Sugino アートワーク:Shun Sudo text by Nahoko Hayashi(baCe, Inc.) photographs by Fumihiko Sugino artwork by Shun Sudo この街を支えてきた、星付きのシェフがつくる居心地のよいレストラン A comfortable restaurant by a chef, now Michelin-starred, who supported this town 今年2月、自身2店舗目となる「ジェネラル・デブス」を開いたオーナーシェフのケビン・エイディさん。以前ここには人気のカフェがあったので、その頃の雰囲気を残しつつ、現在は四川料理を出しています。Kevin Adey, the chef and owner of General Deb’s,
男子服の王者は何といってもイブニング・テール・コート(夜会燕尾服)である。これを着ると男たちは最も華麗な姿になる——と著書の中で書いたのは英国王室御用達のデザイナーであり、著述家のハーディ・エイミスです。燕尾服を着用する機会はなかなかありませんが、タキシードなどのフォーマルスタイルはいまでもメンズウエアの華と言えます。それを最も艶っぽく着こなしたのは、イアン・フレミングが創造した英国諜報員を演じたショーン・コネリーかもしれません。正式な催しに出席するのにはフォーマルスタイルのルーツがあるものです。「ブラックタイでお越しください」と書かれた招待状が届いたら、それはタキシードで出席しなければなりません。カジュアルなパーティでは趣向を凝らしたスタイルも楽しめますが、正式なパーティに出席しなければならない場面も必ずあるはずです。フォーマルウエアのドレスコードは知っていて損なことはないはずです。その
注目のクリエイターがビールを片手に語り合う、それぞれの仕事における“イノベーション”とは?【後編】 PR 2018.10.25 写真:杉田裕一 文:西田嘉孝 テーブルコーディネート:松尾絢子 ヘア&メイク:AZUUMI 料理や酒、盆栽、ファッションなど、さまざまなジャンルのクリエイターが集結した座談会。おいしいビールと趣向を凝らした料理とのペアリングで、後半はホームパーティのような展開に。メンバーそれぞれのビールとの付き合い方にも、“イノベーション”が起こったようです。 【前編】から引き続き、色とりどりの料理が並ぶ食卓を囲むのは、料理家のYOSHIROさんにフリーアナウンサーの近藤淳子さん、景色盆栽家の小林健二さん、ファッションスタイリストの小林伸崇さん。 個性的なベルジャンホワイトビールに合わせ、YOSHIROさんが提案する料理のおかげで、あっという間に4人の距離が近付いていきます。気の
フィンランドデザインの巨匠、タピオ・ヴィルカラの代表作「ウルティマ ツーレ」。発表から半世紀を迎えた今年、初めて色を纏った特別なモデルが登場しました。 50周年を記念し2019年まで生産される特別色、「レイン」のウルティマ ツーレ。写真左からボウル115㎜¥ 2,700(税込)、オールドファッション S¥3,240(税込)、カラフェ&オールドファ ョン S(2点)の3ピースセット¥ 24,840(税込)キャンドルホルダー¥2,700(税込) フィンランドのデザイン史に大きな 名を刻んだデザイナー、タピオ・ヴィルカラ。その40 年にわたるキャリアはあまりにも多彩です。彫刻を学んだのちにデザイナーとなり、ガラス、陶器、照 明器具や電球などの工業製品、紙幣など、数多くの名作を遺しました。 その功績から数多くのデザイン賞を獲得しましたが、初めて大きな賞を受賞したのがイッタラが協賛したデザイ ン・コ
展示作品から。(左)© Nick Knight, Rose I, 2012 (117.47 x 76.2 cm) (右)© Nick Knight, Rose VI, 2012 (117.47 x 76.2 cm) 1980年代から山本耀司やジョン・ガリアーノなどのコレクションを撮影し、ファッション・フォトグラファーとして大きな影響力をもつニック・ナイト。意外にも日本では初となる彼の個展『Still』が、原宿のキャットストリートに面するギャラリー「ザ・マス」でスタートしました。 会場は4つの空間に分かれており、植物をモチーフとする作品3シリーズと、コム デ ギャルソンのために制作した映像の4作品とで構成されています。大英自然史博物館に収蔵された600万点もの植物標本と3年半かけて向き合い、ドローイングを描くようにして植物の多様な造形と色彩の美しさを画面に閉じ込めた『Flora』。バラを撮影
他国に先駆けて1926年に装丁賞「ザ・ベスト・ダッチ・ブック・デザインズ」が設立されたことからわかるように、本のデザインに対して高い意識をもっているオランダ。多くのデザイナーがしのぎを削る中、毎年のようにこの賞にノミネートされている、ブック・デザインのキーパーソンとも呼べる人物がハンス・グレメンです。彼は自身で「Fw:ブックス」という出版社も主宰し、2008年の設立以降、約80冊の本を刊行。そこで行っている特別なプロジェクトが、「Retuen to Sender」(リターン・トゥー・センダー)です。 グレメンは自身のウェブサイトでも通信販売を行っていますが、受取人が不在だったり住所不明だったりして、本が戻ってきてしまうことが度々ありました。彼はそれらを開梱せず、すべてそのまま保管していたそうです。「Return to Sender」は、この返送された本をそのまま包みごと販売するという企画で
ヴェルサイユ宮殿で杉本博司展が開幕、多彩な創作が歴史ある地と結びつく。 2018.11.13 文:髙田昌枝(パリ支局長) 写真:オリヴィエ・バルディナ 毎年、国際的なアーティストを招いて行われる、ヴェルサイユ宮殿の現代アート展。11年目を数える今年は杉本博司さんが選ばれ、10月16日から展覧会が始まりました。タイトルは『SUGIMOTO VERSAILLES Surface of Revolution』(スギモト ヴェルサイユ サーフェス・オブ・レボリューション)。この模様をいち早くご紹介します。 2008年、ジェフ・クーンズを招聘して世間をあっと言わせたヴェルサイユ宮殿の現代アート展。以来毎年、グザヴィエ・ヴェイヤン、村上隆、オラファー・エリアソンといった国際的なアーティストを迎え、話題を呼んできました。 11年目を迎える今年、ヴェルサイユが選んだのは写真、彫刻、建築とさまざまな表現活動
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