儒教では五常(の徳)といって、仁、義、礼、智、信を重要な徳性とします。 同時に『論語』では「智の人は惑わず、仁の人は憂えず、勇の人は恐れず」とあるように、孔子は智・仁・勇を大いなる徳と見なしています。 これを三徳と呼びます。 したがって、素直に足すと「仁、義、礼、智、信、勇」の六つの徳ということになります。 なぜ馬琴が「勇」を省き、「忠、孝、悌」を加えたのかは想像の域を出ませんが、たとえば、 「勇」は八犬士すべてに明らかにある。誰かにのみ、与えるわけにはいかない。 封建制の建前から見れば、「忠、孝、悌」は大事な徳目であるから、これを加えて八にしよう。 そう思ったのかもしれません。