新潟県の親不知漁港では、イワシ漁が本格的なピークを迎えている。今年は秋の味覚・サンマが不漁の一方、イワシは例年以上の豊漁。しかし、中国産イワシとの競争では苦戦を強いられているという。 「中国産は日本産の10分の1以下の値段で入ってくる。正直、国産イワシは相当厳しい」。新潟県・越後市場で、イワシの卸売りを担当する曽我さんは話す。中国産イワシの入荷量は約8万トン。また「日本産」と表記されるイワシでも、実際には中国から稚魚を輸入して日本で育てることで「国産」と称するイワシがほとんどだ。 新潟沖で獲れた純日本産イワシの漁獲量は1トンにも満たない。記者は国産イワシを40年以上獲りつづけている五十畑さんら10人の漁師が乗る船に同行した。 新潟沖約30キロの日本海。魚群探知機がとらえた影を頼りに、イワシの漁場に到着。五十畑さん達はさっそく背負った筒から矢を取り出し、弓をかまえた。水中に揺らめく小さなイワ