日本人は、世界中の人々から「真面目」と評価されている。確かに、大震災後の日本人の秩序ある行動は記憶に新しいし、日常生活においても、日本人の真面目さを表すエピソードには事欠かない(列に割り込まない、時間を厳守する、勤勉であるなど)。しかし、日本人の真面目さは長い歴史を持ち、他国民と比較しても絶対的で強固な国民性であり続けると考えて良いのだろうか。 1.いつから真面目になったのか 日本人はいつから真面目になったのだろうか。戦前の日本人についての言及を確認すると、真面目とは到底言えないような評価が多く残されている。 まず、公共交通機関での態度について興味深い記述がある。1920年、東洋経済新報の若手記者であった高橋亀吉氏が欧州を視察した際、イギリス及びフランス国民が秩序を保って整然と電車やバスに乗り込む態度に感心する一方、 当時日本では、電車やバスに乗るのに、われ勝ちに先を争って押し合っていたの