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ブックマーク / www.ebook2forum.com (8)

  • 日本的出版システムの命数(1):取次の空洞化 – EBook2.0 Magazine

    6月26日、取次準大手の栗田出版販売が倒産した(民事再生申請)。同じ日、アマゾンは「夏の読書推進お買い得キャンペーン」で、(かつての)ベストセラーを含む110タイトルの2割引販売を開始した。再販制の下で、出版社と書店の間のインタフェースとして機能してきた取次というビジネスに何が起こっているか。 「3位、4位」の不幸と再版制の空洞化 2つのイベントの間には、もちろん直接的関係はないが、日の再販制度(独禁法の適用除外として認められてきた業界慣行)の空洞化を示すものだ。東日販の2社が寡占する市場で、3位の大阪屋が半死半生、4位の栗田が消滅という事態は、シェア云々という以上に、いわゆる「唇歯・輔車」(唇と歯、上顎と下顎)の関係にあった業界の安定化要素が欠損し、国策会社・日出版配給(1941-1949)を母体としない取次会社が消滅したことになる。昨年9月に発表された栗田の年間売上高は329億円。

    pycol
    pycol 2015/07/02
  • 出版デジタル機構がモンスターになる日

    出版デジタル機構が、電子出版の取次「大手」ビットウェイを買収したことについて、岸 博幸教授(慶應大学・大学院メディアデザイン研究科)が「出版デジタル機構の電子書籍取次買収は最悪の愚策」と断じている。(1)民業圧迫、(2)モラルハザード、という明快な根拠は十分すぎる説得力があり、その通りだと思う。関係者も沈黙するほかないだろう。 しかしこうすることが暗黙の既定方針だった可能性はかなり高い。でなければ、疑問と批判に答え、経緯を説明していただきたい。このままでは「1兆円」が永久に遠ざかってしまう。 奈落への道は補助金で敷き詰められている 岸教授が、“非競争領域”から“競争領域”に事業を拡大させたことを批判しているように、取次は純然たる競争領域だ。ビットウェイの買収は、JAL支援どころではない民業圧迫/介入であり、後述するように、機構の存在が拡大すれば、合法的なものであっても非関税障壁(自由貿易違

  • データから読むインディーズ出版のノウハウ – EBook2.0 Magazine

    自主出版サービス Smashwordsの創業者マーク・コーカーCEOは、5月2日にカンサスシティで開催された RT Booklovers Conventionで講演し、同社が行った調査データをもとに、のマーケティングに有用なアドバイスを行った。標題、長さ、価格、表紙と販売との関係について興味深い事実が示されている。ここでは、簡単に紹介しておこう。価格を安くすること、大勢に従うことがベターであるとは限らないことを読み取っていただきたい。 1. タイトルは短いほうが有利? 売れたとまるで売れなかったの標題の語数を比較したもの。トップ100の平均(4.2語)と10万位以下の平均(6.0語)の違いは大きくないが、ある程度の相関は認められる。自信がなければ短くてインパクトのあるのがよいということだろう。 2. 読者は長いほうを好むか? グラフを見ると、トップ100は語数が際立って多く、ワースト

  • 「iPadでオライリーの本は読まない」謎 – EBook2.0 Magazine

    動物の表紙の情報技術書で知られるオライリー社は、DRMなしで多様なフォーマットのE-Bookを直販し、複数のダウンロードを認めることで、誰がどんな形で読んでいるかを把握しているが、同社のジョン・ウィルカート氏は最近、そうした読書習慣を示す興味深いデータ(相対比)を公開した。それによれば、PDFとコンピュータがなお最も重要なフォーマットとデバイスであることを示している。驚きは、iPadが主要なデバイスとしてはほとんど使われることなく、また補助的なものとしても低いことだ。 オライリーは以前にも同様なデータを公開したことがあり(誌2012年3月14日号)、傾向には大きな変化はない。オライリーのの読者は、ほとんどすべての情報技術者と学生なので、コンピュータに貼りついている時間が長い技術系の人々が、技術書を読む場合のパターンを示していると考えてよいと思われる。これはなぜタブレット読書が学生に不人

  • 出版の「著作隣接権」を考える(1):権利と利権

    「著作隣接権」を出版に適用する動きについて、そろそろ外国人に説明する必要が出てきたのだが、もちろん一筋縄でいく問題ではない。そこで様々な角度から論点を整理してみようということで書き始めたのが、このノート。筆者なりの結論は最後に述べたいと思うが、この種の権利を論ずる場合には、(1)国際性、普遍性、(2)技術的合理性、(3)著作権との整合性、(4)実効性(コスト/効果)、(5)ステークホルダーのコンセンサス、で評価すべきだと考えている。(鎌田) 権利とは何か:力と正義 【権利】 (イ)一定の利益を主張し、また、これを享受する手段として、法律が一定の資格を有する者に賦与する力。(ロ)或る事をする、またはしないことが出来る能力・自由 【利権】 利益を占有する権利。業者が公的機関などと結託して得る権益(『広辞苑』) 原著作者(creator)に排他的権利を与えるという著作権については、多くの誤解が行

  • 和本論からE-Bookへ (1):書物としての絵巻

    橋口和論(と呼ばせていただく)から受けた重要なヒントは多く、簡単には整理できない。こういうときは整理を後回しにして、記憶が薄れないうちにインスピレーションをそのまま書きとめ、浮かんでくるアイデアをランダムに書き綴っていくしかない。和の世界はデジタルと親和性があり、その復興が出版の21世紀を創造的なものにするという確信は、今年最大の収穫であった。和は世界的な文化遺産にとどまらず、出版とテクノロジーのあるべき方向を示している。(写真は奈良絵『ゑほしおりさうし(烏帽子折草紙)』) 絵巻は絵画(painting)か書物(book)か 橋口さんの講義は絵巻物から始められている。絵巻は書物(book)として扱うべきだ、というのだが、これは容易ならざることだ。現にWikipedia(1)には「絵巻物は、日の絵画形式の1つで、横長の紙(または絹)を水平方向につないで長大な画面を作り、情景や物語な

  • 若者の「本離れ」「デジタル志向」は伝説か – EBook2.0 Magazine

    米国人のインターネット/メディア接触行動について定点調査を行っているニューヨークのピュー・センターは、青少年(16-29歳)の読書習慣について調べた調査レポートで、1年以内にを1冊以上読んだのは83%で、うち75%は紙のだったことを明らかにした。同じく1年以内にE-Bookを読んだのは19%、オーディオブックを聞いたのは11%だった。これはデジタル・リーディングをリードするのが若者ではないことを示すものだ。 少なくとも、タブレットやE-Readerでの読書は若者の間で主流となっていないし、そう一般的でもないということになる。E-Bookを読んだ30歳以下の若者の中では、41%が携帯、55%がコンピュータ、23%がE-Readerで16%がタブレットとなっている。書籍、雑誌、新聞など長いコンテンツをデジタルで読んでいるのは47%。若者層ほどデジタル・リーディングは後れているという結果は興

  • 続「書物における明治二十年問題/橋口 侯之介

    はその複合的な価値と維持性の故に、なお伝存している。他方、大量生産で江戸の屋業を壊滅させた近代の活字出版業も黄昏を迎えた。活字の制約から離れた「出版」業をゼロから再構築するという仕事が現在の出版人に課せられている。活字の電子化に何か意味があるように考える人がなお少なくないが、近代によって失われた江戸出版の豊かさ(多様で奥の深い書物観)こそ、インターネットを前提とした次世代の出版が復活すべき価値であろう。(編集子解題) 続「書物における明治二十年問題:「とは何か」の答えは、和から見えてくる 近代社会が失ったもの 明治ご一新があったその時でなく、20年かけてじっくり和的人間関係は壊れていった。進化すぎた江戸の屋業では残念ながらその動きに抵抗できなかった。 価値観の変動、政策、技術といった背景はあるものの、やはりこれは「人」の問題である。江戸から明治へ出版人がそっくり入れ替わった背

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