法案は、「不当な差別的言動は許されないことを宣言」し、人権教育や啓発活動を通じて解消に取り組むと定めた理念法で、罰則はない。差別的言動の解消に向け、国や地域社会が、教育や啓発広報、相談窓口の設置など「地域の実情に応じた施策を講ずる」よう定めている。 参院での審議では、解消すべき差別発言などの対象を「本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの」と限定したことが議論の焦点となった。 野党側は「本邦外出身者」「適法に居住する」との限定が、沖縄出身者やアイヌ、さらに在留資格を満たさない外国人らへの差別発言を正当化するとして削除を求めていたが、与党側は応じなかった。法成立自体を優先させたい野党側は、付則で「必要に応じ、検討が加えられる」とした見直し規定と、「『本邦外出身者に対する不当な差別的言動』以外のものであれば、いかなる差別的言動であっても許されるとの理解